32: ◆dXKFUjF45.[saga]
2017/03/09(木) 11:03:24.85 ID:hPMpzWdVO
「本格的なデビューに向けてデュオを組ませてもらうことになったんです!」
興奮しているらしく、珍しく早口でまくし立てる長富。
重要そうなワードをメモに取った。
ファンシーフリルス
今井加奈
私と同い年
誕生日も近い
同じ魚座
加奈ちゃんはとっても可愛いんです×4回
「それでね、加奈ちゃんはとっても可愛いんです!」
5回目なので『正』と書いた。
正正正、くらいになりそうな勢いだ。
「おめでとう」
感情的になりそうな自分を抑え、短く言った。
「それでね、えっと、私、えっと……」
すでに感情過多になっている長富に向けて、もう一度繰り返した。
「うん。おめでとう、長富」
「…ありがとうございます、先生」
お礼を言った声に湿り気を感じた。
あの大きな瞳も、
きっとそうなのだろう。
だから、いっぱしの教育者らしいことを言ってみた。
「泣くのは電話を切ってからにしなさい。アイドルはいつも笑顔で、だろ?」
「…はい。はい!先生、おやすみなさい!」
電話が終わり、静寂がひろがる。
その、静寂に向かって、小さく呟いた。
同じような場面で、おそらくは何百万、何千万回と使われてきたであろう言葉を。
ー頑張れ、長富
と。
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