1:名無しNIPPER[saga]
2017/02/22(水) 20:38:59.03 ID:CAQZRJkUO
※独自設定あり、キャラ崩れ注意
SSWiki : ss.vip2ch.com
2:名無しNIPPER[saga]
2017/02/22(水) 20:39:26.40 ID:CAQZRJkUO
「加蓮ちゃん。突然で申し訳ないんですけど服を脱いでもらっていいですか?」
事務所でぼんやりとポテトチップスを食べていた加蓮は自分の正気を疑った。
あの緒方智絵里が、突然、服を脱いでほしいと言ってきたのだ。自分がおかしくなったのか、或いは世界がおかしくなったのか、もしくは両方なのか。
3:名無しNIPPER[saga]
2017/02/22(水) 20:39:52.94 ID:CAQZRJkUO
落ち着け北条加蓮。きっと何かの聞き間違いだろう。服を剥いてもらっていいですか、みたいな。
それはそれで意味不明じゃない?
動揺のあまりに袋の中のポテトチップスを粉々に砕いてしまっている。
4:名無しNIPPER[saga]
2017/02/22(水) 20:40:20.82 ID:CAQZRJkUO
「えっと、智絵里、ごめん。もう一回言ってくれる?」
「服を脱いでもらっていい?」
5:名無しNIPPER[saga]
2017/02/22(水) 20:40:47.30 ID:CAQZRJkUO
聞き間違えではなかったし、何故か智絵里の中で確定事項に変わっていた。
何かおかしいことを言っただろうかと言わんばかりにきょとんとした表情を浮かべながら首を傾げる智絵里。可愛い、と同時に恐ろしいほどの無垢である。
何かがおかしい、智絵里がこんな突拍子もなく、意味もなく、服を脱げと迫ってくるはずがない。きっとどこかに隠しカメラでも仕込んであるに違いない。
6:名無しNIPPER[saga]
2017/02/22(水) 20:41:13.91 ID:CAQZRJkUO
やれやれ、ドッキリをされるのは私よりも奈緒のほうが合っていると思うんだけどな、と愛すべき可愛らしい友人を思い浮かべながら加蓮は周囲を見渡す。
しかし、どうにもカメラが隠してあるようには見えない。いや、少し見渡すくらいで見つかるような隠し方をするはずもないかと思い直した。
──まあ、いいか。アイドルとして芸の幅を広げる必要もあるかもね。
7:名無しNIPPER[saga]
2017/02/22(水) 20:41:46.16 ID:CAQZRJkUO
敢えてドッキリだと認識しながら、乗ることにした。演技の練習にでもなるだろう、何より白けさせてはいけない。アイドルがするべき反応をしなければ。
やるからには本気だ。本気で騙されてやる。加蓮のアイドルへの高い意識の持ちようが、たとえこのようなことであったとしても全力を注ぐことを是とした。
なぜなら──北条加蓮は、あの人(プロデューサー)が育てたアイドルなのだから。
8:名無しNIPPER[saga]
2017/02/22(水) 20:42:12.40 ID:CAQZRJkUO
「加蓮ちゃんのお洋服、オシャレだから少しの間だけ交換してみたいなって思ったんですけど……ダメだったかな?」
……うーん、ドッキリにしても設定が意味不明過ぎて、逆に違う気がしてきたぞ、と加蓮は意気込んでいたものがすぽりと抜けていくような気がした。
訝しげな加蓮の表情にようやく気付いたのか、智絵里はあわあわし始めた。
9:名無しNIPPER[saga]
2017/02/22(水) 20:42:39.15 ID:CAQZRJkUO
「す、すみませんっ、主語が足りていませんでした……り、理系なんです!」
「あはは……大丈夫だよ。たいして気にしてないから、謝らなくても」
10:名無しNIPPER[saga]
2017/02/22(水) 20:43:06.52 ID:CAQZRJkUO
そのほうが服の交換なんかよりもよっぽど実用性がある。智絵里の洋服の幅も広がるし、何より加蓮自身が楽しい。
いつだったかMasque:Radeでのユニット活動中に美穂の服を見立てたこともあったが、やっぱり可愛い女の子の服を選ぶということは楽しいものだ。
着せ替え人形で遊ぶ童女と或いは根幹に似たものがあるのかもしれない。
三つ子の魂は百まで変わらないというように多くの女性は幼い頃に着せ替え人形で遊ぶことで洋服を着せ替えるということに楽しみを見出だすものなのかもしれない。
11:名無しNIPPER[saga]
2017/02/22(水) 20:43:33.31 ID:CAQZRJkUO
智絵里のような儚げな、第二次性徴を既に迎えているのにも関わらず、まるで触れることは許されない、穢すことを許されない清純無垢な──そう、まさしく少女と言うべきようなタイプの服を選ぶとなると、どうしたものか。
やはり智絵里に似合うものを、いやいやしかし自分の服装と交換したいと言ってきたぐらいなのだから敢えて完全に自分の趣味に合わせてやるべきか──
加蓮の考えは既に着せ替える方向へとシフトしていたが、しかし当の智絵里はと言うとそうではなかった。
12:名無しNIPPER[saga]
2017/02/22(水) 20:44:00.41 ID:CAQZRJkUO
「あ、違うよ。加蓮ちゃんが今着ているお洋服が着たいだけなの。これから李衣菜ちゃんと遊びに行くんで、オシャレにしたいなって。えへへ、勝負服ですっ」
物凄く図々しかった。
友人の服をまさか自分の勝負服だと言う人間がまさかいるとは思わなかった。
13:名無しNIPPER[saga]
2017/02/22(水) 20:44:26.91 ID:CAQZRJkUO
「普段はかな子ちゃんが部屋でお洋服を選んでくれているんだけど、今日はお仕事でいなくて……だから事務所でもオシャレな加蓮ちゃんにお願いしたいと思ったのっ」
「ええっと、それなら私も智絵里の服を選ぶだけでよくないの……?」
「加蓮ちゃんを探していたら時間がもうギリギリになっちゃって……うう、めちゃくちゃなこと言ってるのはわかっているけど、お願い……!」
14:名無しNIPPER[saga]
2017/02/22(水) 20:44:54.03 ID:CAQZRJkUO
なんで李衣菜と遊びに行くだけでそこまでするのか、とは思わなくもないけれど……まあ、しかし、とは言え──だ。
自らに非があることもちゃんと理解していて、言っていることがめちゃくちゃだということも自覚していて、それでもこうして智絵里は頼んできているのだ。
ならば、意固地になる必要はない。
そもそも意固地になるようなことでもない。
ふふ、と加蓮は笑う。こんなめちゃくちゃなこと、面白くて笑うしかない。
15:名無しNIPPER[saga]
2017/02/22(水) 20:45:20.36 ID:CAQZRJkUO
「──わかった。今回だけだからね?」
16:名無しNIPPER[saga]
2017/02/22(水) 20:45:46.74 ID:CAQZRJkUO
その言葉に、智絵里の表情がぱっと明るくなる。心なしか後光が差しているような気すらする。というかあれ、翼生えてない? パタパタしてない?
目をごしごし。あれ見えない。
どうやら気のせいだったようだ。
17:名無しNIPPER[saga]
2017/02/22(水) 20:46:13.32 ID:CAQZRJkUO
「ありがとうございますっ。やっぱり加蓮ちゃんはカレエルでした……」
「カレールー……?」
「はい、カレエルっ」
18:名無しNIPPER[saga]
2017/02/22(水) 20:46:39.76 ID:CAQZRJkUO
閑話休題。
19:名無しNIPPER[saga]
2017/02/22(水) 20:47:26.40 ID:CAQZRJkUO
さあ、そう決まればさっさと着替えてしまおう。智絵里の言い分を聞いた限り既に時間はかなり切羽詰まっているのだろうし、更衣室への移動時間も惜しい。
幸いにもプロデューサーは今日ここへ戻らず自宅へ直帰であるとボードにも書いてあるし、ここへ寄る者がいるとすれば同じアイドルの女の子くらいだ。
それにしても、と加蓮は思う。別に智絵里の服装は酷いというわけではない。むしろ智絵里によく似合った、可愛らしい格好であるとすら同僚アイドルという贔屓目を抜きにしても思う。
20:名無しNIPPER[saga]
2017/02/22(水) 20:47:53.41 ID:CAQZRJkUO
とは言え頼られること自体は悪い気持ちでもないし、今ここで説得をしてみたところでいい具合にテンパって暴走気味な智絵里には届かないだろう。
結局服装の交換に応じるのが、ベストではないにしてもベターなものだ。
それに正直、智絵里のキュートらしい洋服を着るというのもいいなというのも少しばかりないわけでもない。
そんなことを考えながら上に着ていたものはすべて脱ぎ、加蓮は生まれた姿に下着だけを着た状態となっていた。
21:名無しNIPPER[saga]
2017/02/22(水) 20:48:19.17 ID:CAQZRJkUO
「智絵里!? な、なんで──なんで下着まで脱いでるのよ!?」
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