過去ログ - ウルトラマンオーブ 【僕たちの翼は真っ白】
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21:名無しNIPPER[sage saga]
2017/02/23(木) 22:37:25.61 ID:aSwZMWdb0

「むしろお前が一番大変だろ。四年の夏になっていきなり就活始めなきゃいけなくなるなんて」

「そうですね」

 そういえば僕自身のことを考えていなかったことに気付いた。
 このままバンド活動を続けていけると信じていたのに、突然将来への道が崩落したのだ。
 崩れた道の前で僕はじっと奈落を見下ろしている。今まで数え切れないほどの命を吸い込んできた魔の谷底だ。

「どうすればいいんでしょう」

「俺がどっかに顔が利くようになったら仕事紹介してやるよ。ベース続ける気があるんならな」

「そうですね」

 ベース。僕はこれからベースを続けていけるのだろうか。僕の低音と響き合える居場所を見つけられるのだろうか。
 僕の居場所はいつだって一筋の細い線だ。いつ切れてもおかしくない、か弱くか細い線……。

 僕は十杯目のウィスキーをあおった。酒に強くて上手に酔えないのがたまらなく寂しく思えた。

「兄ちゃん。隣、いいかい」

 僕はびっくりして顔を上げた。すぐ横に二十代半ばくらいの男が立っていた。
 身なりが妙な男だった。ブルージーンズに黒地のシャツ。その上に焦げ茶色のジャケットを羽織っていて、頭にはパナマ帽が被せられている。



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