過去ログ - ウルトラマンオーブ 【僕たちの翼は真っ白】
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39:名無しNIPPER[sage saga]
2017/02/23(木) 22:49:46.72 ID:aSwZMWdb0

「キギィッ!」

 ヘイレンが驚いたような短い声を上げる。オーブが一瞬にしてその懐に潜り込んでいた。

「――テャーーッ!!」

 オーブが右手を突き出す。その指先から光弾が放たれ、ヘイレンの喉元を突き破った。
 後方へオーブが飛び退く。静かに着地し、ストールがふわりと落ちる。それと同時に怪獣の体が倒れ、爆発した。

 僕たちの演奏も終わった。

「はあー……」

 大きく長い溜め息を吐いて僕はベースを背中に回した。大声を出し続けて喉が痛かった。
 オーブが僕たちを見下ろしていた。どうしたのだろうと思っていると、西の空を顎で指した。

「…………」

 そこにはひとつの光が浮かんでいた。テントウムシのような姿をした宇宙人だ。
 宇宙の仲間を目指して飛ぶ彼女の背には、白い翼が生えていた。

 その光が消えてしまうまで僕らは声もなく景色を網膜に焼き付けていた。

「……元気でね」

 もう二度と会えないとしても、僕らの分かち合った時と音と思いはきっと生き続ける。
 そして君がくれたこの光景も。たとえ一筋の細い線を綱渡りのように歩き続ける人生であったって、僕は一生このことを忘れないだろう。

 僕たちの翼は真っ白だ。


                                                  ――了――



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