過去ログ - 森久保「私に似ているプロデューサーさん」
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6: ◆8AGm.nRxno[saga]
2017/02/24(金) 09:23:02.63 ID:UKsbEgqz0
「あのっ、すみません!」

レッスンが終わって次の研修に向かおうとした俺たちに、さっきまで踊っていたアイドルの一人が声をかけてきた。

「私は…アイドルになれるでしょうか…デビューは…」

彼女の目には疲労を押し殺すのに十分な情熱があった。

…つい視線を反らしてしまう。

どうやら彼女は俺たちについて勘違いしているようだ。平のペーペーですらない研修中の俺たちにそんなことを決める権限も、彼女のセンスを見抜くだけの鑑識眼もあるはずがない。

まだ十代半ばの少女なのだから仕方がない。冷静に物事を分析する力より、恥をかく勇気の方が役に立つ年頃なのだろう。

どう返事すればいいか困っていると俺たちの教育係の上司がやってきて対応してくれた。
狭い事務所だ、彼女の良く通る声が事務室にも届いたのだろう。

どうにか事なきを得たが、俺は嫌なものを見てしまったと虫を噛み潰した気分だった。

レッスンの疲れを押して俺たちに取り入って貰おうとした彼女の目、さらにその後ろの「その手があったか」という四人の顔。

そして今日のレッスン。

自然な流れで、俺の中に彼女たちを拒絶する感情が生まれていた。




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