2: ◆2QfXBkV1Yr70[saga]
2017/02/25(土) 15:44:28.02 ID:d5PWy65G0
「はぁ……」
通算七回目の家出ともなると、あたしも慣れたものだ。いつものように近所の稲荷神社にお邪魔している。境内の階段、特等席に座った。
あたしが悪いのはわかっている。でもどうしてもあの家を継ぎたいなんて思えなかった。そりゃ、立派な仕事かもしれないし、伝統、なんてものもあるのかもしれないけどさ。正直あたしにはよくわからない。よくわからないのによくわからないままやりたくはなかった。まあ、あたしのわがままだ。
「怒ってるやろなぁ……」
体育座りをしながら独り言をつぶやく。幸い、この神社は人が滅多にいなかった。知り合いに聞くと盛況してるってみんな口をそろえて言うが、あたしが来た時にあたし以外の参拝者を見たことはなかった。神社なんてそんなものなのだろう。
「あー……帰りたくない」
「帰りたくないの?」
「うんまぁ……気まずいし、怒られるし」
「そう。でもいつも帰るじゃない」
「そりゃ、お腹はすくしいつまでもこんなところに……ん?」
ふと、気づく。あたしは誰としゃべっているのだろう。
「こんなところで悪かったわね」
「わぁ!?」
後ろを振り向くと……超美人がいた。
「お、おねーさんなにしてんのこんなところで」
「あなたこそ、早く帰らないのかしら」
お姉さんは17、8歳のような少女にも見えるし、25歳ぐらいの女性のようにも見えた。
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