2:名無しNIPPER[sage saga]
2017/02/28(火) 23:57:53.68 ID:LXnW/BSnO
「ねぇ、プロデューサー」
「そうして仕事をしてるのは……担当の、私の為の仕事を、そこまで打ち込んでやってくれているのは嬉しいのだけど」
「根を詰めすぎ。さっきからほとんど休憩も取らないで……少しくらい、息を抜かなきゃダメよ」
「だからほら、息抜き。私と、ね……?」
「癒してあげる。――ほら、私と、キスしましょう……?」
空いた時間をこの部屋の中へ入り浸るようになった私のためにプロデューサーが用意してくれた、二人で座るには少し狭い小さなソファ。その上へ身体を座らせながら、目の前のプロデューサーへ向けて。
でもそれは躊躇いも何もなく「キスは遠慮しておこうかな。気持ちだけ受け取っておくよ、ありがとう」なんて、なんでもない普段と何も変わらない調子の声で断られる。
デスクへ向かって、私へ背を向けたまま。一瞬、小さく振り返ってほんの一瞬だけ、困ったような微笑を私へ返して。そうして私を断って、プロデューサーはすぐに仕事へ戻ってしまう。
初め――出逢って間もない頃、表面を触れ合うばかりでまだ今のように互いの奥までは触れられていなかった頃、あの頃は決まってあたふた慌ててくれたのに。
からかうため。顔を赤くして、手をぶんぶん振り回して、そうして照れて慌ててくれるのが面白くて。そんな姿を見るのが楽しくて、そんな反応を返してくれるのが好ましくて。だから、まるで挨拶のように。なんでもない会話と同じように私がキスをねだる度、その度に何度も何度でも素敵な反応をする姿を返してくれていたのに。
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