過去ログ - マルシル「……楽器かしら、これ」
↓ 1- 覧 板 20
2:名無しNIPPER[sage]
2017/03/01(水) 13:33:39.06 ID:RpIHpw8h0
マルシル「飛んでる……」
部屋の中をそれは飛んでいた。
飛ぶというよりは浮いてるというか、ふわふわと空中を浮翌遊していた。
チルチャック「げ」
センシ「魔物か」
センシが斧を構える。
私も杖を構えて臨戦態勢を取るが、こんな狭い部屋ではみんなを巻き込んでしまう。
マルシル「ライオス!」
小回りの利く剣を持ったライオスに声をかけたその時、アサガオが魔物に突っ込んでいった。
魔物は衝撃で壁へと叩きつけられて地面へと落ち、金属でできたアサガオは派手な音を立てて床へと転がった。
マルシル「な、何てことするの!」
私まだ吹いてないのに。
ライオス「咄嗟に投げてしまった。ごめん」
ライオスがアサガオを拾い上げて点検するが、どうやら亀裂が入ってしまったらしく、もう使えそうもなかった。
チルチャック「そんな楽器なんてほっといてとっとと出ようぜ」
センシ「待て。まだこの部屋には魔物がいるはずだ」
チルチャック「だから出ようって言ってんだろ」
チルチャックがおぞましいとばかりに部屋を見渡す。
仮に一割が魔物だとすると、大体五、六匹はいることになる。
センシ「貴重な食料だぞ」
センシがライオスに撃ち落とされた魔物を拾ってくる。
よく見ると内臓やら血やらがはみ出ていて、それが楽器などではなく生き物なのだと嫌でも分かってしまう。
マルシル「……じゃあその一匹だけね」
ライオス「それはないだろうマルシル。自分一人だけ食べるつもりか」
マルシル「誰がそんな意地汚いこと言いますか!」
なんならライオス一人で食べたらいい。
センシ「待て待て。これから人数分わしがとってやろう」
センシが斧を構えて部屋を見渡すけど、その親切心はかなり有難迷惑だ。
微妙に痙攣している楽器を見て思う。
チルチャック「……そもそもこいつ食えるのかよ。見た目完全に木だぞ」
チルチャックが指差すそれは確かに木だった。
厚みが数センチほどの木を細長の団扇のようにくり抜いたような、見ようによっては打撃武器にも見える見た目だった。
センシ「わしの見立てではおそらく、魚だな」
マルシル「魚って」
どう見ても植物か、良くて虫とかに近い見た目なんだけど。
浮いてたし。
ライオス「魚かあ。確かにこの細いところとかしっぽに見えなくもない」
ライオスが魚?を持ち上げてしげしげと眺める。
ああいう持ち方をすると魚に見えなくもないのが腹立つ。
ライオス「しかしこれ、仮に楽器だとするとどうやって演奏するんだろうな。吹くところもないし、叩くにしては形が凝ってるし」
チルチャック「多分弦をはじくんだと思うけど。爪とか硬いヘラとかで」
チルチャックが魚?のヒレ?を爪ではじく。
チルチャックのいう弦をはじく楽器は私も見たことあるけど、これはちょっと違うような。
12Res/13.05 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。