22: ◆/BueNLs5lw[saga]
2017/03/07(火) 23:06:26.42 ID:ArEOG84Z0
やたら息の荒い授業が始まり、なぜかいつもよりもノートを書き写す音が多く感じた。
気のせいかもしれないけど。
急に、授業中に話し出す奴もおらず、いたって平穏な3限が終わった。
お昼休み、うっかり、クラス一可愛い女の子――井原とトイレが一緒になってしまった。
鏡に向かって、井原が話しかける。
「日下さん、今日の啖呵カッコよかったよ」
「え、ああ、どうも」
嫌味の無い彼女の鏡越しの微笑みに、仏頂面で返す。
井原――井原カザリ。ポニーテールにホテルの高級タオルのようなアンティーク柄のシュシュをつけていた。よく似合っている。
恐らくどこかのブランドだと思う。彼女はこの辺りにいくつか点在する井原ビルのオーナーの一人娘だから。
「委員長は、ちなみに何点だったの?」
「満点」
「すごいね」
「あれくらいできて当たり前でしょ。井原さんこそ、どうしてあそこで間違えたのよ」
彼女が、あんな初歩的な計算ミスをするとは思えなかった。
そして、一度消した痕があった。
綺麗に消されていた。
まるで、元々あった正当な解答を白紙に戻したかのように。
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