25: ◆/BueNLs5lw[saga]
2017/03/07(火) 23:36:27.04 ID:ArEOG84Z0
「無理」
早口で言った。
「ですよね。どうしたらしてくれる?」
「無理なものは無理。まず、私は帰って勉強をしなければならないので、そういった余裕はありません」
辞典を高く掲げる。
先生は、腕で顔を庇う。
「お母さんに怒られるから?」
「……そうですね」
私の逆鱗に触れようとしたって無駄だ。
その手には引っかからない。
「母を怒らせると、先生もただではすみませんよ」
「たまには、君の意思で放課後を過ごしてみないか」
腕を降ろし、先生は優しく提案する。
「勉強することを選ぶなって? 仮にも教師が何言ってるんですか」
「ほらー、ミラちゃん十分頭いいから、多少サボったって大丈夫だよー」
「仮にサボっても、それはもう先生の意思に従っていて、私の意思ではないんですけど」
「それは、違うよ。私の提案に、君が乗ったんだ。それは、乗り掛かった船に近い」
「母は、そんな船すぐに沈没させますよ」
「では、バレない様に言い訳を考えればいいさ」
「言い訳?」
「先生に、任せなさーい」
裏声で、彼はダブルピースしたので、仕舞おうとした辞書をなんとなく顔に投げつけた。
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