13:名無しNIPPER[saga]
2017/03/07(火) 23:21:17.90 ID:2xfEaWy9O
馬鹿にしてるのだろうか。それともドッキリ? 早苗は周りを見渡したがそれらしい雰囲気はない。そもそも違反させてまでドッキリというのは考えられない。私が困惑していると男は、プロデューサーはなおも問いかけてきた。
「あなたならトップを取るのも夢じゃないです! 私と東京に来てアイドルをやりましょう!」
先程の気弱そうな男はおらず、そこにいたのは情熱に燃えた大男だった。横にも縦にも大きいプロデューサーに迫られ、早苗は後ずさりをしてしまった。そこでプロデューサーは我に返り、さっきまであった気迫はどこ吹く風と霧散してしまった。
「す、すみません。怖がらせてしまいましたね」
「し、仕事熱心なのね」
早苗が絞り出せた言葉はこれだけだった。未だに心臓がバクバクと轟音を立てていた。プロデューサーはしょんぼりと肩を落としながら財布を確認している。罰金を考えているのだろう。そんなプロデューサーを見て、早苗は少しおかしくて笑ってしまった。
「え、あの?」
「あ、ごめんなさい。なんかおかしくて」
出会ってからここまで、百面相のようにその顔は豊かだった。このような面白い人に出会ったのは早苗の人生でも初めてであった。
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