過去ログ - 木場真奈美「カッコイイより」菊地真「カワイイを!」
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1: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/03/08(水) 20:38:36.82 ID:VC9IP/fR0
===

 彼女から相談を持ち掛けられた時、菊地真は思わずこう聞き返してしまった。

「カッコイイのに……困ってる?」

「そうだ。カッコイイことに困ってるんだ」

 真の対面に座る女性、木場真奈美がどうしたものかといった様子でため息をつく。

「実は先日、ある仕事を任された時のことなんだが。メンバーが私、美優、あいの三人でね」

「はい」

「それぞれメイドの恰好をして……確かプロデューサー君は、イメージビデオとか言ってたかな」

「イメージビデオですか? メイドさんの恰好で」

 真が訊くと、真奈美は「うむ」と頷いて。

「なんでも『必殺お仕置き人』とかいう漫画の宣伝らしい。個人的なことを言わせてもらえば、メイドは本来使用人だろう?
 なら、叱る側ではなく叱られる側だと思うのだが……」

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2: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/03/08(水) 20:40:33.59 ID:VC9IP/fR0

 不思議そうに首を捻る真奈美。真も、そんな彼女の言葉に「そういえばそうだなぁ」と心の中で同意する。

「まぁ、プロとして与えられた仕事はキチンとこなしたつもりだよ。ただここで、一つ疑問が生まれてね」

以下略



3: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/03/08(水) 20:42:58.53 ID:VC9IP/fR0

 そこまで言うと、真奈美はテーブルに置かれたコーヒーカップを手に取った。
 
 両目をつむり、静かに口をつける姿はスマートな所作と相まって確かにカッコイイ。
 思わず真が見惚れていると、真奈美が急に瞼を開き、ジロリとした視線を彼女に向けた。
以下略



4: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/03/08(水) 20:45:22.99 ID:VC9IP/fR0

「ズバリ聞こう。君は、カワイイかい?」

 瞬間、真は声にならない声を上げてその上体を仰け反らせた。雷に打たれたような衝撃。
 それは彼女の禁忌に触れる質問。物事の核心を「これでもか!」というほどに的確に貫く言葉の槍。
以下略



5: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/03/08(水) 20:47:04.48 ID:VC9IP/fR0

「もう一度聞こう……君は世間一般から、どんな目で見られていると感じてる?
 カワイイアイドル菊地真か? それともカッコイイアイドル菊地真か?」

「あ、あぁ……言わないで、そ、その話題を深く掘り下げないで……!」
以下略



6: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/03/08(水) 20:48:23.67 ID:VC9IP/fR0
===

「だがしかし、君が一部ではカワイイと呼ばれていることも知っている」

 真奈美の言葉に、顔を伏せたままで真がピクリと反応する。
以下略



7: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/03/08(水) 20:50:06.51 ID:VC9IP/fR0

「へ、へへっ……そ、そんな風に思われてるんですか?」

「まぁ、私が聞いて回った限りはそうだな」

以下略



8: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/03/08(水) 20:51:19.64 ID:VC9IP/fR0

 二人の間に、再び沈黙が訪れる。

 若干の憂いを帯びた両者の姿は、見る者が見れば「し、渋カッコイイ!」なんて興奮しそうなほどに決まっていたが、
 二人が求めるのはあくまでもカッコイイでは無くカワイイなのだ。
以下略



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