過去ログ - 渋谷凛「私キラーでシリアスブレイカー」
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◆TOYOUsnVr.
[saga]
2017/03/14(火) 00:40:27.44 ID:64ZzKcsd0
*
どれくらい歩いたのだろう。
ちょっとだった気もするし、すごく長かった気もする。
プロデューサーは私の手をぱっ、と放すと「目を開けて」と言った。
おそるおそる目を開けてみる。
飛び込んできたのは、視界いっぱいに広がる夜景と、してやったりという顔をしているプロデューサーだった。
思わず「わぁ」と声を上げてしまうと、プロデューサーは一層にやにやする。
悔しいけど、完敗だ。
「どう、かな。俺のお返しは」
「……すごく嬉しいよ。言葉にできないくらい」
「なら良かった」
「ほんとは、さ。お返し、期待してたんだ」
「期待通りだった?」
「期待以上、かな。もらったものが嬉しかった、とかじゃなくて……。あ、いや、もらったものも嬉しかったんだけど……」
今の気持ちをうまく言語化できなくて、まごまごとしてしまう。
「……えー、っと。もらったこと……もらえたこと、がすごく嬉しかったんだ。もちろん、プロデューサーのことだし用意してるとは思っ
たけど」
余計なひとことが口をついて出る。
「……その、全部が想像以上で。とにかく嬉しいよ。ありがとう」
「そんな感激されちゃうと、来年のハードルやばくない?」
あーあー。
台無し。
感動を返して欲しい。
全霊の感謝を伝えた私を見て、プロデューサーはいつも通りへらへらと笑っている。
そんな、やつには、こうだ。
ローファーでぐっ、と革靴を踏んでやるとプロデューサーは「いてぇ」と声を上げる。
「帰ろっか」
「ん。そうだな」
あーだこーだと軽口を叩きながら来た道をてくてく歩く。
こんな感じの、ばかみたいな関係だけど、今はそれでもいいかな、なんて。
おわり
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