36:名無しNIPPER[saga]
2017/03/21(火) 18:13:22.88 ID:PQpbCdMUO
「…さっきはごめんなさい、未来」
「あ…静香ちゃん…」
事務所を出て下に降りると、静香ちゃんが私の事を待っていました。
もう夜で寒いのに、レッスン後で疲れてる筈なのに。
わざわざ、謝ってくるなんて…
「私こそごめんね。でも、今は本当に大丈夫だから!」
「そう…なら良かったわ。笑顔でいてこその未来だもの」
二人並んで、道を歩きます。
冷たい風は心地よくて。
心も心なし、軽くなった気がして。
あんまり内容の無い事を喋っているうちに、駅が見えて来ました。
「まったく…本当に良かったわ」
「ありがとね、静香ちゃん」
こんなに心配してくれてたなんて。
今更になって、ようやく気付いて。
尚更申し訳なくなっちゃったけど。
きっと今は、ごめんねじゃなくてありがとうかな、って。
「それにしても、事務所でプロデューサーと何を話したのよ。デートの約束でもしたのかしら?」
笑いながら、そう言われちゃいました。
きっとそのくらい、私は浮かれた感じだったんでしょう。
そして、静香ちゃんも元気になった私を少しからかおうとしたんでしょう。
ここでイエスと答えるのも面白いかもしれませんけど。
そうですね、デートの約束かー…
うーん、どっちかって言うと…
「失恋の約束かな。それじゃ、またね!」
「えっ…?」
笑って、私は駆け出しました。
空に浮かんだ雲の切れ端には、大きな月が浮かんでいます。
明日、晴れるといいな。
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