過去ログ - 伊織「誰もガブリエルを見ていない」
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6:名無しNIPPER[sage]
2017/03/16(木) 21:05:10.41 ID:1J1zI4/10
「美希、あんた、息」
その時思わず声をついた私の言葉に、美希はパフ、と自分の口元を覆って、振り返った。
「くさい?」
「違うわよ、あついのよ。息、すっごく熱い」
明かりをつけない部屋で私と美希は座った。
美希は今まで寝ていたベッドの上に、私はほとんど枕にしか使われていないビーズのソファーに。
腕を伸ばせば、持ってきた台本も渡してやれる。
しかし美希は受け取った台本を膝の上に抱え、開こうとはしなかった。
片手でもう一度自分の口を塞ぎ、口臭を気にする人のように、はあはあと息を吐いてみせている。
確かめているのは、きっとその熱さだろう。
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