過去ログ - 渋谷凛「水風船のように」
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13:名無しNIPPER[saga]
2017/03/17(金) 12:38:07.95 ID:1HyDqIB70

「みんなどうして向こうに行くのかしら。なにかあるの?」

「花火があるんだ」と私は答えた。

 ぞろぞろと高台に向かう人混みに、私たちは逆らって歩く。

 奏はちらちらと彼らを見ていた。

 眼鏡越しの瞳は一層レモン・イエロウを濃くしている。
 浴衣姿の人たちを見て、奏はなにを考えているんだろう。

 提灯が少しずつ減っていく。

 灯りにはバタバタと蛾が集っていて、奏はするりとそこから離れた。


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