229:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 04:22:48.03 ID:ha7ZcpN9o
そうして三体が倒され、今に至る。
思い返してみても募る不審、あんじゅは内心に首を捻る。
エースを集中して育ててレベルを突出させるタイプのトレーナー、それ自体は珍しくない。
しかし、この渡辺曜とかいう少女のそれはあまりに歪。
230:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 04:23:46.89 ID:ha7ZcpN9o
思い起こす…
千歌「曜ちゃんっ…!」
231:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 04:24:19.84 ID:ha7ZcpN9o
超加速!!!
フェローチェの踏み出し、瞬間吹き荒れる突風。
跳んだ白魔、その膝はまさに凶器と化して鋭利。
波動エネルギーを礎とした鋼質の皮膚を有するルカリオであれ、まともに受ければ一撃必倒は逃れえない。
232:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 04:24:56.38 ID:ha7ZcpN9o
あんじゅ(どんな相手であれ目を狙われれば一瞬怯む!その隙を…)
曜「関係ない」
あんじゅ「がっ…!」
233:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 04:25:27.75 ID:ha7ZcpN9o
すう…と、
連打の合間に息継ぎ一つ、曜はわずかに手を止める。
血混じりの唾を吐き捨て、あんじゅは曜へと問いかける。
234:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 04:25:56.03 ID:ha7ZcpN9o
曜とあんじゅが組み合う背後、格闘タイプ同士で行われていた激しい戦闘は紙一重の差でフェローチェの勝利に終わっていた。
あんじゅが曜へと問いかけたのはフェローチェがルカリオを倒しきるまでの時間稼ぎ。マウントを取って一心不乱に殴り続けていた曜には後背の決着は見えていないと踏んだのだ!
迫るフェローチェ、その手先は白液に包まれている。
白い樹液が往々にして毒性と言われるように、自然界における白は強毒を示す色でもある。
235:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 04:26:32.30 ID:ha7ZcpN9o
救援がなければ曜は敗北していたかと言えば、そうではない。
フェローチェの刺突に合わせるように、背後へとドククラゲを展開していた。
守備的に育成されたドククラゲは現れると同時、曜の指示で対物理用の“バリアー”を展開させている。レベル差はあれ、“どくづき”の一撃には耐えてみせていただろう。
ただそれでも曜の手持ちは残り一体。
236:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 04:27:01.37 ID:ha7ZcpN9o
汗と戦塵、血に乱れた自らの灰髪を鷲掴み、毛先のウェーブを強めるのようにワシャワシャと掻き乱す曜。
口元は譫言のように動かされていて、瞳は熱病に浮かされたように揺れている。
曜「私の役目だ…私の…!私だけの千歌ちゃん…!!」
237:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 04:27:28.47 ID:ha7ZcpN9o
曜は狂気と正気の狭間、誠実な梨子の瞳に動揺を走らせる。
引っ越してきて知り合ったもう一人の友達。自分にないものをたくさん持っていて、女の子らしくて繊細で、少し怖がりで優しくて。
嫌いじゃない。嫌いな訳がない。
238:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 04:27:58.60 ID:ha7ZcpN9o
どこかぎこちない曜と梨子のやり取りを遠目に、あんじゅは考察を深めている。
不意打ちを掛けようにも梨子とカイリキーは共に隙がなく、無闇に突っ込ませたところで手札を無駄に消費してしまうだけだ。
故に考察を。
曜は何故フェローチェの初撃を見切れたのか。
239:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 04:28:27.17 ID:ha7ZcpN9o
戦闘を引き継ぐという梨子の申し出を、曜は強くはない口調、しかし断固とした意思を感じさせる目で断った。
まさか、それは想定していなかった。あんじゅは驚きに眉を顰め、距離を保ったままに思わず尋ねかける。
あんじゅ「正真正銘、馬鹿なのかしら?イカれてるとは思っていたけれど、詰んだ勝負もわからないだなんて…」
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