792:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 18:24:57.85 ID:ha7ZcpN9o
果南はその言葉に応じず、片手に持ったペットボトルから水を口に含む。
ごくんと喉を鳴らして飲みくだし、それから半分ほどの残りを頭からザバザバと振りかけた。
希「ええ、秋の夜に…寒くないん?」
怪訝げにそう尋ねた希へ、果南はさらりと声を返す。
果南「いやあ、体が乾いちゃって」
希「乾いて、って。まさかとは思ってたけど、本当に海中生物…」
果南「冗談に決まってるでしょ。引かないでよ」
そんな調子、交わされるナンセンスな会話。
それは無駄口ではなく、達人同士、互いの出方の探り合いだ。
崩壊したゲートからは、異常開放を知らせるサイレンだけが高らかに鳴り続けている。
だが念力で破壊されたゲートに閉めるべき扉はとっくに失われていて、その警報は動力が切られるまで延々と鳴り続けるのだろう。
不安を掻き立てるその音は、希の心をより深い混沌へと誘い…
反して、果南は平然。
騒音に軽く顔をしかめ、羽織った上着のポケットから何かを取り出す。
それは黒く細いコード、先端にはイヤホン。音楽プレイヤーに繋がったそれを耳へと嵌め込み、果南は誰へともなく頷く。
果南「ん…うん、これでよし」
希「は?」
果南「希と普段お喋りするのは楽しくて好きだけどさ、戦う時はペース乱されそうだからね」
希「いやいや、イヤホンなんてしたら五感一つ潰れて不利に…」
果南「悪いけど、もう聞こえなくなるよ」
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