863:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 20:29:57.79 ID:ha7ZcpN9o
鞠莉のギャロップ、ダイヤのガラガラまでもが意識を薄れさせていっている。
火勢は緩み、炎が氷に屈しようとしている。理が捻じ曲げられている。
エンペルトに、伝説のポケモンであるディアンシーまでもが同様に。
ダイヤは気が付く、肺腑が奥まで凍り始めている事に。
白霞む視界の先、数キロ遠方の空に鳥ポケモンが墜落している。
どうやらメガユキノオーによる零下空間は目視距離の限界にまで効果を及ばせているようで、ダイヤは女王の本領に慄くよりない。
ダイヤ(ぐ、う…痛みが…喉の奥を、裂かれるような…!)
膝を折り、手を地に。ダイヤは女王へと頭を垂れている。
吐き出す呼気はすぐさま凍てつき、舌や歯茎の水分が霜と化して痛みを生む。
一体、今は何度なのだろう。
地球で記録された最低気温は確か、マイナス90℃を下回って少しほど。
もしかするとその域…いや、あるいは既に下回っているのでは。
たったそれだけの思考に粘つくような徒労が全身を覆い、その粘り気がそのまま厚氷を成して体を包み込んでいく。
そんなダイヤを見下ろして、絵里は静かに声を降らせる。
絵里「力を抜いて、身を任せればいい。意識は雪に溶けて、そのまま終わりが訪れる。それだけよ」
ダイヤ「……ぁ、ぅ、…」
絵里「発言を許します」
ダイヤ「っ、は!!」
絵里はがメガユキノオーへと手で指示を。
瞬間、ダイヤの喉、その中だけから寒風が遠ざかる。
大規模な凍結に併せ持つ微細な温度コントロール、白の世界に絵里だけが平然を保っているのは自身だけを冷却の対象外としているためだろう。意味するところは絶対支配。
絵里は言った。終わり、生命の終焉。
それはつまり…
ダイヤは問う。
978Res/1221.34 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。