935:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 21:21:31.58 ID:ha7ZcpN9o
千歌は、聖良の瞳に漆黒を見ている。
ごくごく凡々、平和な人生を生きてきた。
巨大な悪意に接することなんて、オハラタワーの一件まではまるでなかった。
自称、普通星人。才を欠く葛藤はある。
だが自分を普通だと、平均値だと言えるのは、もしかすると恵まれていることなのかもしれない。
ただ少しだけ、普通の人より、千歌の人を見る目は養われている。
旅館の娘として、数々の人々の行き交いを眺めてきた。
例えば訳ありのカップルや、例えば重い病を抱えた湯治客。
人生の転換期に悩む人や、全てを投げ出したくて生活圏から逃避してきた人。
もちろん宿泊客の多くは観光だが、それでも大なり小なりの闇を抱えて生きている人は少なくない。
千歌はそれを知っている。
聖良の瞳に宿る黒。その濃度は過去に類を見ないが、種類は既知。
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