936:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 21:22:10.62 ID:ha7ZcpN9o
千歌「…悲しいんだね」
聖良「……理不尽だとは思いますよ、この世界は。私たちは生きていたい。ただそれだけなのに…」
千歌「じゃあ、ウチウラにおいでよ。自然以外はなんにもないけど、頭を空っぽにするにはすごくいい場所なんだよ」
聖良「あなたの故郷、でしたか?」
千歌「海を見て、お日様を浴びて、夏なら泳いで、私の家で温泉にも入れて!
そしたら、わかんないけど、ちょっとだけでも悲しさが癒せる…かもしれないよ。みかんもおいしいし!」
聖良「それは…魅力的な誘いですね」
皮肉を交えずに控えめに笑えば、その目元には穏やかな気品と少しの素朴さが漂う。
広大なシンオウ、その内陸部の生まれ。海を見たことはあれど泳いだことは一度もない。
馬鹿馬鹿しい。そう思いながらも、聖良は想像してしまう。
千歌が差し伸べる手には私利や打算の色はない。
敵対中の、それどころか場合によっては殺すことも辞さない姿勢の聖良へと、どうしてそんな顔を向けられるのか。
まったく、まるで理解に遠い。だけど悪い気はしなくて、故に聖良は微笑んだ。
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