過去ログ - 田中琴葉「私、お味噌汁なんだって」佐久間まゆ「えっ」
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73: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/03/29(水) 19:47:17.73 ID:xc4llwxt0

 私の言葉を笑って誤魔化し、恵美がテーブルの上に頬杖をついた。
 そうして私を見つめる視線は、まるでこちらの考えを、全て見透かしているようにも見える。

「まっ、アタシの知ってる田中琴葉を、その子の立場に置いてみれば……導き出される結果は単純。
 何かと理由をつけちゃって、アプローチ以前に諦めちゃうってトコじゃない?」

「……やっぱり、恵美もそう思うんだ」

「思う思う、チョー思う! でね? 告白の真似事すらしなかったのに、
 いつまでもいつまでもその時のことを引きずって、一人でうじうじ悩んでんの。
 夜寝る前に布団の中で、枕をししどに濡らしてさー」

「ちょっと恵美!」

「そんでそんで、そんな自分の女々しさと未練がましさに悩んだ挙句、
 ファミレスに呼び出した親友に、今さら助言を求めたりするね。
『ねぇ私、どうしたらいいと思う?』なんて……相手の男の方はとっくに、他の子とよろしくしてんのに」

「恵美……」

「結局、琴葉は臆病なんだよ。他の子に悪いとか、世間の目が気になるとか言うのは建前でさ。
 本当は、失恋して、傷ついて、相手との関係が以前のような物には戻れなくなることを恐れてる……」

 そうして恵美が、再びグラスを手に取った。

 ……耳が痛いな。

 彼女が私に言うことは、多分、きっと真実だ。
 人は簡単には変われない……私の、この面倒な性格もそう。


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