過去ログ - 速水奏「カエルの面に××」
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3:名無しNIPPER[saga]
2017/03/27(月) 22:12:33.75 ID:4Rea9gbvo
「どうして」

 冷たく湿った指先では、うまく文章が打てない。

 結局、自分のしようとしていることの結果は同じなのだから、
 と思うけれど、すぐに玄関へ向かうことも、迂遠な言い回しを止めてしまうことも、
 奏にはできなかった。

「どうして来たの」

 いままで、ずっとそうだった。
 面倒な手続きを経なければ、プロデューサーとのコミュニケーションはうまく取れず、
 迂遠な言い回しでもって、馬鹿正直なプロデューサーをからかっていなければ、
 今度は自分が馬鹿なことをしでかしてしまいそうだった。

 それも、いまの自分には似つかわしくない――そう思いながらも、結局、奏はこのやり方しか知らなかった。


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