7:名無しNIPPER[saga]
2017/03/27(月) 23:27:56.24 ID:YshUHtoF0
「私達を迎えに来たハシゴやね」
空を見上げる。
「もう消えましたけどね」
「ネタのハシゴを外された感があるわ」
「まぁ、そもそもあんまりおもしろくなかったですけど。テレビだったらカットですかね」
「オブラートって知ってる?」
二人の間に、雨が降っている。まだまだ、やみそうにない。
私はそれに手を伸ばして、掌で受け止めた。水滴で掌が湿る。
「この雨だと、オブラートも溶けてしまうもので」
一瞬、奈緒さんが虚を突かれたようにきょとんとする。その後、はんっと息を鳴らした。
「なにうまいこといってドヤ沢志保になっとんねん、たいしておもろないわ」
「ど、ドヤ沢ってなんですか!」
「ドヤ顔北沢志保を略してドヤ沢志保ですぅー。そもそも、晴れの日でも志保のオブラートなんてみたことないし」
「そんなことないですよ。時と人と場合を選びます」
「つまり、私はいずれにも選ばれてないんやね?」
「……そろそろ行きますね」
無駄話をしてたら雨があがってしまいそうだ。
別に困りはしないけど、帰りが何時になってもいいわけじゃない。
奈緒さんじゃあるまいし、ミーティングに遅れるのは勘弁だ。
だっていうのに。奈緒さんは再びふざけているのか、どんと私に肩を寄せてくる。
「……いや、邪魔なんですけど」
「気が変わったわ。このまま事務所までゴーや!」
「え、端っこ濡れるんですけど……」
「ちょっとくらいええやん! そもそも往復しとったらミーティング間に合わんくなるよ」
「えっ、もうそんなにですか?」
手首の時計を確認する。
……そうでもない気がする。
じゅうぶん間に合う気はするけれど……まぁ、いいか。
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