過去ログ - しあわせの行き先【ミリマス】
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1: ◆KakafR9KkQ[sage saga]
2017/03/29(水) 09:09:10.88 ID:Fdb4Q9AA0
私、最上静香は今とても急いでいる 親友との約束に遅れそうなのだ

遅れる理由は仕事のためで、そもそも仕事がこんなに建て込んでいるのは明日とても大切な用事があるからで、その用事は彼女絡みで、だから遅れるのは……

と、言い訳しても仕方無いので、私は今平日の都会を早歩きで渡っている



やっと待ち合わせのカフェに着いて、彼女の姿を探す

よく考えてみたら彼女と直接会うのは何年ぶりだろうか、前回会った時の彼女はまともな状態では無かったし…… つまり私は今の彼女の姿を知らないのだ

少し不安だったがそれは杞憂だった、カフェのオープンテラスを少し見回せば彼女はすぐに見付けられた

おしゃれなカフェにとびきりの美人、彼女は圧倒的な存在感を放っていた

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2: ◆KakafR9KkQ[sage saga]
2017/03/29(水) 09:10:55.73 ID:Fdb4Q9AA0
静香「ごめん、お待たせ星梨花」

星梨花「あっ、静香さん 全然待ってないですよ」

箱崎星梨花、元765プロのアイドルで私のアイドル時代の仲間
以下略



3: ◆KakafR9KkQ[sage saga]
2017/03/29(水) 09:11:48.09 ID:Fdb4Q9AA0
星梨花「……でも、その台詞は明日まで取っておいてくださいね?」

静香「あ、ごめん 星梨花の顔を見たらつい言いたくなっちゃって」

星梨花「ふふ、静香さんにも同じことを言える日を楽しみにしていますよ」
以下略



4: ◆KakafR9KkQ[sage saga]
2017/03/29(水) 09:12:40.02 ID:Fdb4Q9AA0
星梨花は巨大企業グループの会長の一人娘で、今の私のようにずっとこの世界で仕事をしていくわけにはいかなかった

最初からタイムリミットのあったアイドル生活、もしかしたら彼女の中では私たちの知らない葛藤があったのかもしれない

アイドルを辞めた後の星梨花はお嬢様として勉学に努め、良いお嫁さんとなるための修練を重ね、『大人』になった
以下略



5: ◆KakafR9KkQ[sage saga]
2017/03/29(水) 09:13:29.47 ID:Fdb4Q9AA0
そう、星梨花の結婚相手はお見合いで決められたもの

『政略結婚』なんて古くさいものでは無いが、星梨花は両親が選んだ彼女に見合う『立派な男性』と結婚することが決められていたのだ

もしかしたら、優しい星梨花の両親のことだから、星梨花が嫌だと言えば普通に恋愛結婚も出来ただろうし、アイドルを続けることも出来たかもしれない
以下略



6: ◆KakafR9KkQ[sage saga]
2017/03/29(水) 09:14:39.75 ID:Fdb4Q9AA0
星梨花「もちろん、無いですよ」

満面の笑みで答えられた

静香「そ、そう……」
以下略



7: ◆KakafR9KkQ[sage saga]
2017/03/29(水) 09:15:10.61 ID:Fdb4Q9AA0
プロデューサー、私たちがアイドルだった頃に一緒に頑張ってくれたあの人

静香「星梨花はプロデューサーのことをとても慕っていたし、もしかして……」

星梨花「…… 確かにプロデューサーさんのことは好きでした」
以下略



8: ◆KakafR9KkQ[sage saga]
2017/03/29(水) 09:15:38.61 ID:Fdb4Q9AA0
静香「…… その人は星梨花にとって特別な人なのね」

星梨花「はい、『彼』と初めて会った時、この人しか居ないって、そう思えたんです」

星梨花「それまで思うことのなかった、この人のお嫁さんになりたいって気持ち」
以下略



9: ◆KakafR9KkQ[sage saga]
2017/03/29(水) 09:16:27.44 ID:Fdb4Q9AA0
星梨花「でも、『彼』の話をする前に…… 少し、私の話をしてもいいですか?」

そう言って、星梨花は自らの下腹部に両手を当てた

星梨花「『彼』とのいきさつには、私の体のことが大きく関わっていますから」
以下略



10: ◆KakafR9KkQ[sage saga]
2017/03/29(水) 09:17:32.79 ID:Fdb4Q9AA0
星梨花「私が自分の体のことを知ったのは21歳の時です」

星梨花の体のこと、星梨花は簡単に言えば『赤ちゃんの出来にくい体』なのだ

可能性が全く無い訳じゃない、だけどそれは限りなく0に近い
以下略



11: ◆KakafR9KkQ[sage saga]
2017/03/29(水) 09:18:48.54 ID:Fdb4Q9AA0
星梨花「誰も私を責めたりなんてしませんでした、お友だちもお父さんもお母さんも『普通に生きていく分には問題無いんだから』って言ってくれました」

星梨花「だけど……」

他でも無い、星梨花自身がそのことを許せなかったのだろう
以下略



12: ◆KakafR9KkQ[sage saga]
2017/03/29(水) 09:19:30.04 ID:Fdb4Q9AA0
星梨花「あの時は自分の全てが否定されたような気がして、何もする気が起きなくて、学校にも行かずに部屋に一人引きこもっていました」

星梨花「赤ちゃんが産めないのなら、私は『お母さん』にはなれなくて、それなら私が今まで頑張ってきたことはなんだったんだろうって思ってました」

静香「私が星梨花に最後に会ったのはその辺りよね」
以下略



13: ◆KakafR9KkQ[sage saga]
2017/03/29(水) 09:20:15.03 ID:Fdb4Q9AA0
その時の星梨花は自らのことを『欠陥人間』と称していた

常人には出来ることが自分には出来ない、だから『欠陥』

私他、星梨花と同期だったアイドルのみんな、星梨花の友達、みんなが思い思いの方法を星梨花を励まし、気を紛らわせた
以下略



14: ◆KakafR9KkQ[sage saga]
2017/03/29(水) 09:20:41.22 ID:Fdb4Q9AA0
星梨花「だから私もその思いに報いなきゃって思って無理やり自分を動かしていたんです」

星梨花「自分は『お母さん』にはなれないってわかっているのに、みんなが期待してくれるからその『お母さん』にならなきゃって頑張っていた」

星梨花「思い返すと、私が今までの人生で一番辛かったのはその時期だったと思います」
以下略



15: ◆KakafR9KkQ[sage saga]
2017/03/29(水) 09:21:17.91 ID:Fdb4Q9AA0
星梨花「学校を卒業して、いよいよ私は『結婚』を考える年齢になりました」

星梨花「その時のお見合い相手として紹介されたのが『彼』です」

星梨花「私は自分の体のことがあって結婚することは諦めていましたが、会わずに断るのは相手にも両親にも悪いと思い、一度食事をすることにしました」
以下略



16: ◆KakafR9KkQ[sage saga]
2017/03/29(水) 09:22:29.77 ID:Fdb4Q9AA0
お見合いは私の家で行われました

最初は私の両親と『彼』の両親と一緒にお食事を、その後私と『彼』の二人で歓談という予定で

私は『彼』と二人きりになった時に自分の体のこと、私が『欠陥人間』であることを告白するつもりでした
以下略



17: ◆KakafR9KkQ[sage saga]
2017/03/29(水) 09:23:15.25 ID:Fdb4Q9AA0
星梨花『あの、二人きりになったので…… 少し伝えたいことがあるのですが……』

『えっ!?』

緊張する『彼』に対して私はとても落ち着いていて…… いいえ、落ち着いているんじゃなくて諦めて投げやりになっていたんですね
以下略



18: ◆KakafR9KkQ[sage saga]
2017/03/29(水) 09:24:02.76 ID:Fdb4Q9AA0
星梨花『私…… 赤ちゃんの産めない体なんです』

『え……』

星梨花『私は体に欠陥があって、お母さんにはなれないんです……』
以下略



19: ◆KakafR9KkQ[sage saga]
2017/03/29(水) 09:24:50.61 ID:Fdb4Q9AA0
『そんなことないですよ』

星梨花『ありがとうございます…… でも……』

『子どもが産めなくても、お母さんにはなれるはずです』
以下略



20:修正[sage saga]
2017/03/29(水) 09:25:56.92 ID:Fdb4Q9AA0
『そんなことないですよ』

星梨花『ありがとうございます…… でも……』

『子どもが産めなくても、お母さんにはなれるはずです』
以下略



21: ◆KakafR9KkQ[sage saga]
2017/03/29(水) 09:26:47.85 ID:Fdb4Q9AA0
静香「そう…… そんなことがあったのね」

星梨花「はい」

静香「ねぇ、もっとその『彼』のこと聞かせてもらえるかしら?」
以下略



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