過去ログ - 響子「わたしのほしいものは」
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9:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/31(金) 00:22:16.49 ID:n/U0KpIm0
ーー??ーー


「響子」

「......なんですか」

「もう1週間家から出てないだろ。たまには外に出ろ。」

「プロデューサーさんが、私を追い出せば済む話なんですよ。ここはプロデューサーの家なんですから。」

「......それができたら、苦労してねえよ」


響子は行きつけのクラブで、知らない男にそそのかされ、飲酒及び淫行に走った。


その町では割と有名なやり手だったらしい。薬物の取引も行っていた。幸い響子が唾を付けられたのはその時が初めてらしく、薬はやっていない。


警察がその男の居場所を特定し逮捕に及んだ際に、運悪く響子も居合わせていたそうだ。


当然なんもお咎めがないわけがなかった。


事務所は、響子に無期限の謹慎処分という形をとった。


プロデューサーである俺は責任を取る形で、正式にクビとなった。


響子がアイドルを始めてから3年以上がたっていた。その事件があったのが高校を卒業してからだったのがせめてもの救いか。


家族とは半分絶縁状態。


いや、絶縁というよりは、まるで人が変わった娘とどう向き合えばいいのかご家族の方もわからないのだろう。


自責の念もあって、俺は響子を自分の家に住まわせている。幸いお互い貯金があるので、すぐに衣食住に困るわけではなかった。


薄暗い部屋に男女二人、当然何もないわけではなかった。


しかし、俺たちの生活には何もない。喜びも、怒りも、悲しみも、楽しさも。


響子はこの家に来てから、ほとんど言葉を発していない。


「じゃあ、俺は買い出し行ってくるから。」


ぎゅ。


袖をつかんだ響子の、光を失った黒で塗りつぶしたような目は、自分ではない何かを見つめているようで。


それはまた、俺自身の目を映しているのだと気付いて。


「.....響子は、なにがほしい?」


壊れた自分自身から目をそむける代わりに、俺は響子に聞いた。



「.....ほしいものは、特にないよ」



「そうか、なら適当に買ってくるよ」




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