5:名無しNIPPER[sage saga]
2017/04/01(土) 01:21:44.02 ID:rBrxam3H0
「だから、きらりは杏ちゃんのことが大好きなんだよぉ、でも、どうしてそんな質問をしたにぃ? もしかして、きらりといっしょにいるの、いやかにぃ......?」
ーーああもう。そんな顔するなよ。体は大きいくせに、繊細だなあ。
「......嫌だったら、杏はとっくにきらりを避けてるよ。」
素直に否定するのが照れかったのか、杏は目をそらしながら言った。
きらりはとてもうれしそうな顔をして、作業に戻った。
ーー周りに何も求めないから孤独になった私と、周りから求められようとして頑張って、それでも孤独になったきらり。
ーー私たちは、反対だからこそ、引かれあったのかもしれない。
あんきらの初ライブへの準備は順調に進んでいき、いよいよ前日となった。
「明日が本番だ、ゆっくり休んで本番に備えてくれ」
「あんずちゅわん、あしたはがんばるにぃ☆」
「おっけー」
ーー明日は私の本気を出して、きらりとのステージを成功させるんだ。
その日の夜は、柄にもなく少し胸が高鳴っていた。
ーー当日、本気を出した杏のステージは、今までにないくらい歓声と成功を収めた。
そして、この日のライブをきっかけに、杏はさらに人気を上げた。
事務所にいる時間はめっきり減り、一日の終わりに事務所に戻るくらいしか顔を出さなくなった。
「ただいまー、あー疲れた。」
「杏ちゃん、おかえりぃ☆」
毎日のように疲れた顔をして事務所に戻ると、いつもきらりが杏の帰りを待っていた。
「うん、ただいま、一緒に帰ろうか」
杏は察し始めた。自分がライブで本気を出したことで、きらりの存在感がかすんでしまったこと。
そしてあんきらという二人組である以上、どうしても優劣が付いてしまうこと。
きらりは仕事が減ってきていた。
私にはそれが歯がゆかった。
きらりのほうが、私なんかよりもっともっとアイドルへの熱意があるはずなのに。
またあの時と同じように、自分の何気ない行動が、今度は大切な人の頑張りと心を踏みにじるのがつらくて、ぬいぐるみを抱く力を強めた。
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