3:名無しNIPPER
2017/04/02(日) 09:19:24.26 ID:8+rDTmig0
あの夜、あの子が見ていた景色はどうだっただろうか。…こうして畳に寝転がるたび、同じ格好をしていたいつかのあ
の子を思い出します。
だらしないです、畳のあとが着きますよ、そんなことを言ってはこちらを向かせようとしたのですが、あの夜、ここに並べて敷いた布団の中で、ついに彼女はこちらを向いてくれませんでした。
あの時にはすでに、もう何を言っても彼女には届かなかったのだ。
心の弱い私はそう自分を慰めようとしましたし、絵里や凛たちも、自分のことはさしおいて代わる代わる私やことりに声をかけてくれましたが、今もときどき、あの子と寝た夜の光景をこうして、流感のように時々患ってしまうのです。
『赤の他人のくせに、よけいなこと言わないでよ』
あの子は母にそんなことを言ったそうです。あの夜、それを聞いた時、頭が真っ白になって言葉もなにも出てこなくなりました。
この世の不幸を黒々と煮詰めた泥のような声を小さい頃から見守ってきたあの子が発した時、私はどうすることもできなくなってしまったのです。
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