過去ログ - 速水奏「ここで、キスして。」
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11:znAUHOH90 10[sage]
2017/04/05(水) 01:59:27.59 ID:znAUHOH90

「奏が好きなんだ。ずいぶん前から。ずっと。」

ぶん殴ってやろうかと思ったの。
だってそうじゃない、あんなにはっきりと拒絶したのに、今更のこのこやって来て。
お前の気持ちなんて勘違いだ、なんて言われて。それなのに放っておいてもくれなくて、何様のつもり?
大泣きと鼻水でぐちゃぐちゃだし、こんな情けない顔、貴方にだけは死んでも見せたくなかったのに、追いすがってきて隠させてもくれないし。

「ビビってたんだ、ごめん。俺がいくら命懸けになったって、奏には足りないんじゃないかって。お前をアイドルにしてお前の人生変えたくせに、お前の人生の責任を取れる自信が無かった。それくらい、俺にとっては眩しかったから。ましてプロデューサーって立場利用して、お前の気持ちにつけこむなんてやり方は、絶対嫌だった。けど、俺はお前ほど強くないから。だから……わがままを言うよ。」

ひっぱたいてやろうと思った掌を、頬を包んでくる彼の手に添えてしまった。
そうしてより確かになった彼の体温は、もうどうしようもなく、離しがたくて。
滲んだ彼の顔を見てたら、あとからあとから、涙が溢れてくる。

「いつも俺のことを見てくれるお前が、どうしようもなく愛しい。正直、今でもお前を幸せにしてやれる絶対の自信なんてない。でも、お前が笑ってくれたら、俺は幸せになれるんだ。その時、出来たら、俺のすぐ側で、俺の事見て笑って欲しいんだ。こんな風に思える人に、もう二度と出会うことは無いと思う。」

野暮ったいし、タイミング悪いし、ド直球だし。
でも好きになったほうが負けって、本当なのね。自分でわかるくらい、まるっきりただの女の子になっちゃうんだもん。

「俺にとっては、きっと奏が最後の人なんだ。俺の全部をお前にやるから、俺と一緒になってくれ。一瞬だけでも、構わないから。」

恋愛映画のラストって、いつも少し冷めた目で観ちゃうの。恋と愛って永遠のテーマじゃない、それなのにこんなに簡単に決着つくもの? って。
でも、本物の恋は確かに、私が思ってるよりずっと単純で、都合が良いものだったみたい。
そっと体の力を抜いて、彼の胸に預けた私の頭を、彼が優しく抱き締めてくれたとき。
本当に、死んでも良いわって思えたものね。



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