過去ログ - 【ガルパン】インモラルしほエリ
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35:KASA[saga]
2017/04/12(水) 22:24:33.93 ID:MnXvQIy5O
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エリカ(そのお婆さんと出会った時、常夫さんは相当に酔っぱらっていたそうです)

エリカ(だから──『本当におばさんと出会ったのか』──という事だって、実のところ常夫さんはあまり確信がなくて──あぁ、師範がとっても呆れてる)

エリカ(だけど師範が呆れるのも無理はない。常夫さんのせいで、私と師範は、こんな事になっているのに。そりゃあ私は、面と向かっては文句をいえないけれど──)

エリカ(……こほん、とにかく、その夜常夫さんは、一か月間におよんだマカオでの出張整備がようやく片付いて、さぁ数日後にはようやく帰国だぞ、さぁようやく嫁さんに会えるぞ、と)

エリカ(ちょっぴり浮ついた気持ちで、酒瓶を片手に整備士仲間と夜の市場を練り歩き──)

エリカ(『あなた、いかがわしいお店に立ち寄ったりはしていないでしょうね』と、師範がまた、ギロリと常夫さんを睨みをつけました。──『もちろん!』 常夫さんはぶんぶんと首を振りました。……まぁ、想像通りの夫婦関係なのかしらね)

エリカ(ともあれ、あくまで健全に、仲間と飲んだくれた後、そろそろ宿舎に帰ろうとして──大通りからいつもの裏路地へと入り──そこで、そのお婆さんと出会ったそうです)

エリカ(『そこな日本のお方々』。流暢な日本語で、そのお婆さんは声をかけてきたそうです)

エリカ(一見すると──手相占いのお婆さん? 熊本の商店街でもよく見かけるような、おばあさん。小さなテーブルと質素な椅子を立てて、通りの片隅で、商店街の景観をささやかに彩っているような……)

エリカ(だけどもちろん、そこは熊本のきらびやかな商店街じゃない。マカオの夜の、薄暗い路地裏……なぜ、そんな場所に老婆が一人で?)

エリカ(……お連れの人達は謎のお婆さんに対してちょっと不気味そうにしていたらしいけど──常夫さんは、おっとりしていそうで、あんがい肝がすわってて──『やぁこんばんわ。ばあちゃんも日本の人? 俺達、もう一か月くらいここにいるけど、ばあちゃんとは初めて会うね』と、とってもフランクに──)

エリカ(御婆さんはなかなか素性を明かそうとせず、だけど常夫さん曰くの『ちょっとおもしろいばあちゃん』で、お話しが弾むうちになんだか仲良くなって、ばあちゃんも交えてもうちょっと街で遊んでいこうと──それで、屋台でご飯を奢ってあげたんですって)

エリカ(その話を聞いて、私は──常夫さんがもっとこの家にいてくれたら、隊長も、元副隊長も、今よりもずっと社交的な性格になっていたのでは……)

エリカ(──というような事を思って、軽い口調で師範に言ったら、師範はちょっぴりむっとした顔をした。……ああもう、可愛い人だなぁ……)

エリカ(さておき──おばあさんはエビ串にかぶりつきながら機嫌良さそうに、こう言ったそうです)


 ──そう言えば、あんたの嫁さんは、子育ての事でいくらか難儀をしているみたいだねぇ──


エリカ(同僚の人達は、おばあさんの言葉にぎょっとしたそうです)

エリカ(だって、そこまでのお婆さんとの会話の中──常夫さんは一度たりとも『家族の話』などしていないのに──)

エリカ(──だけど、それでもさすがは常夫さん、(なるほどなるほど、さすがは自称ホンモノ占い師のばあ様だ。うまい具合に「カマ」をかけてきたのだな。『家族の不和系』なんて、誰にでもよくある話だからね)と、自己完結をして──」

エリカ(『いやぁそうなですよ、うちの嫁さん、なかなか大変で』と、続けて──)

エリカ(『本当はもっと娘に優しくしてやりたいのに、嫁の立場がそれを許してくれんのです。人一倍マジメな女性ですから──』と──。ここで、師範が常夫さんの膝をツイとつねりました。)

エリカ(まぁそんな具合にに、見ず知らず相手にだからこそ打ち明けられるというのか、ペラペラと家庭事情を話続け──あぁ、その場にいる同僚の人は、とっくに知ってるくらいに気ごころの知れた整備士仲間だそうな)

エリカ(そのうちに話は、「家を離れることになってしまった可哀想な次女」と、「その事についての嫁の複雑な心境」に入ろうとした。ただ、それについてはさすがに同僚の前で話すわけにもいかないので、常夫さんが少し黙り込む。そもそも少し喋りすぎたかな、という気持もしてきて──)

エリカ(──だけど、それまで聞き役に徹していたお婆さんが、突然口を開いて──)


 ──なるほど苦労をなさっているのだね。家を出て行った娘さんのことも、さぞ心配だろう──と。


エリカ(『え?』と、その事情を知らない同僚の人が、声をあげたそうな)

エリカ(そして──とうとう常夫さんも、何か、緊張めいたものを感じざるを得なくて──まぁ、そりゃそうよね。)

エリカ(『どうして、そんな事を知っているんだろう』って、ね)

エリカ(『(──今までの会話の中に、何かそれを特定できるような情報があったのか?──いや、ないぞ。うん。無い)』)

エリカ(しばし絶句して、おばあさんの顔をまじまじと見てしまったそうな。常夫さんが凝視する先で、だけどお婆さんは──花見でもするようなのんびりした雰囲気で)

エリカ(『いやいっそ、妖怪みたいにニタニタ笑ってくれてた方が、しっくりきたんだけどな』ですって)

エリカ(『まさか産業スパイの類か?』だなんて、常夫さんは酔っぱらった頭でぼんやりと考えたそうだけど)

エリカ(常夫さんはひとまず冷静に──『何の話だい?』と、とぼけた風に──)

エリカ(するとお婆さんは)


 ──いやいや、年よりはなんだって知ってるんだよ──と。


エリカ(常夫さんは、『これもなにか、熟練の占い師が身に着けてる高度なカマかけの技法なんだろうか』考えつつ──)

エリカ(とりあえず、『そうかそうか、すごいですねぇ』と、適当にその場は笑ってごまかしたんだって)

エリカ(……と、いう所までを常夫さんから聞いて──私と師範が顔をみあわせていると──『二人とも、酔っ払いの見た幻覚か妄想かなにかだと思ってるだろう』と常夫さんがカラカラと笑いました)

エリカ(まぁ、常夫さんの言う通りかもね。──こんな状況でなければ、酔っぱらって夢でも見てたんだろうって、そう思っちゃってたかなぁ……)


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