15: ◆WlH5kArGpE[sage]
2017/04/08(土) 22:19:19.58 ID:8f+Rtbzdo
文香「もしかして、専務室に何か御用でしょうか……? 私も所用があって先ほどまで専務室にいましたが、専務はそろそろ、会議の時間だと仰っていました……。裕子さんも、もうすぐ出てくるのではないでしょうか……」
茜「いいえ! まだ間に合います!」
文香「しかし……専務という役職は忙しいものですから……できれば、会議が終わってからの方が良いのでは……?」
茜「いいえ! まだ間に合います!」
文香「あまり、おすすめ出来ません……。少し落ち着いてはいかがでしょうか……? 中にいる裕子さんも、誰かを待っている様子でしたが、専務を引き留めるような様子はありませんでした」
茜「それだから、走るんです! 信じられているから走るんです! 間に合う、間に合わないは問題じゃないんです! 私のクビも問題ではありません! 私は、なんだか、もっと恐ろしく大きいものの為に走っているんです! ついて来てください! 文香さん!」
文香「いえ、私はありすちゃんを待たせているので……この辺で失礼します……」
茜「そうですか!」
文香「それでは……。間に合うと良いですね……」
言うにや及ぶ。まだ陽は沈まぬ。最後の死力を尽くし、茜は走った。茜の頭は、からっぽだ。何一つ考えていない。ただ、わけのわからぬ大きな力にひきずられて走った。陽は、ゆらゆら地平線に没し、まさに最後の一片の残光も、消えようとした時、茜は疾風の如く専務室に突入した。間に合った。
19Res/21.92 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。