7: ◆WlH5kArGpE[sage]
2017/04/08(土) 22:10:42.51 ID:8f+Rtbzdo
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卯月「茜ちゃん! 茜ちゃん起きてください!」
目が覚めたのは午後の2時を過ぎた頃である。茜は跳ね起き、南無三、寝過ごしたか、いや、まだまだ大丈夫、これからすぐに出発すれば、約束の刻限までには充分間に合う。今日は是非とも、あの専務に、卯月のアイドルとしての素質を見せてやろう。そうして笑ってステージに上がってやる。
茜は悠々と身支度を始めた。雨も、いくぶん小降りになっている様子である。身支度は出来た。さて、茜は、卯月の手を強く握って、事務所の中へ、矢の如く走り出た。
卯月「あ、茜ちゃん! 手が痛いです!」
茜「ああっと!? すみません卯月ちゃん! つい力を込めてしまいました!」
卯月「大丈夫ですよ茜ちゃん。そんなに急がなくても、同じ事務所内なんですからすぐに着きますよ」
茜はゆっくり歩こう、と持ち前の呑気さを取り返し、自分の持ち歌をいい声で歌い出した。ぶらぶら歩いて二階行き三階行き、そろそろ全階程の半ばに到達した頃、降って沸いた災難、茜の足は、はたと、止まった。見よ、前方の階段を。先程の豪雨で水浸しになり、茜と卯月の行く手を阻んでいた。
卯月「窓が開けっ放しだったみたいですね」
茜は茫然と立ちすくんだ。あちこちと眺めまわし、また、声を限りに呼びたててみたが、清掃員の姿は見えない。水溜まりはいよいよ、ふくれ上がり、海のようになっている。茜は廊下にうずくまり、しかし直ぐに立ち上がり卯月に手を挙げて提案した。
茜「仕方ありません! 私達でこの階段を綺麗にしましょう!」
卯月「ええっ!? 私達でですか!? べ、別の階段を使えば良いんじゃないでしょうか?」
茜「そうはいきません! 見てしまった以上は無視できません! 見て見ぬふりは罪です!」
卯月「私達でやるより、ちひろさんに電話して清掃の人にお願いして貰った方が……」
茜「さぁやりますよ卯月ちゃん! 時は刻々に過ぎていきます! 太陽も既におやつ時です! あれが沈んでしまわぬ内に、専務室に行き着く事が出来なかったら、あの良いエスパーが、私のためにクビになるのです!」
卯月「ええっ!? どういう事ですか茜ちゃん!?」
茜「さぁやりますよー!」
卯月「き、聞いてない……」
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