過去ログ - 二階堂千鶴「コロッケのコロちゃん」
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1: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/08(土) 23:05:53.15 ID:J+qrADWR0
千鶴「わたくしは二階堂千鶴。セレブですわ」

千鶴「思えば幼い頃から立派なセレブになるためたくさんの習い事をしてきました。ピアノ、華道、英会話、コロッケ、茶道、バレエ……。毎日目が回るほど忙しい日々でしたわ」

千鶴「あら、同情はいりませんわ。セレブに生まれた者として当然の責務ですもの」

千鶴「ただ、あの子と出会ったのも習い事が終わって執事が運転する車で帰る途中でしたと言いたかっただけですわ」

千鶴「今、時間はよろしくて?少々わたくしの昔話に付き合ってくださいな」

千鶴「これは、わたくしが小さな家族と過ごした日々の物語ですわ」


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2: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/08(土) 23:08:16.64 ID:J+qrADWR0
執事「お嬢様、本日もお稽古お疲れ様でした。どうかおくつろぎください。……車の運転はお任せあれ」

千鶴「ありがとう。でもわたくしはセレブですもの、車内とはいえ外で気を抜くことはできませんわ」

執事「では家につくまでしばし辛抱ください。……ファイト」
以下略



3: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/08(土) 23:10:09.62 ID:J+qrADWR0
執事「お嬢様。いきなりどうしたのですか?……これは」

千鶴「可哀想に。コロッケがこんな道端に捨てられていますわ」

執事「そうですね。……ひどい」
以下略



4: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/08(土) 23:11:18.39 ID:J+qrADWR0
執事「お嬢様。お止めください。捨てコロッケを拾うなど、セレブの行いではありません」

千鶴「お黙りなさい。道端に捨てられ雨にうたれるコロッケを見捨てることこそ、セレブの名折れですわ」

執事「しかし」
以下略



5: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/08(土) 23:13:07.15 ID:J+qrADWR0
千鶴「さあ、わたくしの部屋につきました。もう安心ですわよ。これからはわたくしがあなたの面倒を見てさしあげますわ」

執事「お嬢様、雨に濡れたコロッケを拭くためにタオルとキッチンペーパーをお持ちしました。どちらにいたしましょう」

千鶴「やはりコロッケなのですから、キッチンペーパーの方がいいでしょう。わたくしが拭きますわ」
以下略



6: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/08(土) 23:14:03.47 ID:J+qrADWR0
執事「一般的にはやはりコロッケなので電子レンジがいいと思います。ただ問題があります」

千鶴「なんですの?」

執事「電子レンジはキッチンにしかなく、キッチンまでの道にはおそらくメイドがいます。見つからず入るのは難しいかと」
以下略



7: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/08(土) 23:17:20.29 ID:J+qrADWR0
千鶴「さてキッチンへ向かいますわ」

執事「メイドに出会わないのがベストですが」

メイド「き、キッチンに何か御用ですか?夕食ならまもなくですが……」
以下略



8: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/08(土) 23:18:12.19 ID:J+qrADWR0
メイド「あ、あれ?お二人からコロッケの匂いがしたので、てっきり今日も帰り道で食べてきたのかと思ったのですが……」

執事「バレてました」ヒソヒソ

千鶴「あの嗅覚ズルすぎません?」ヒソヒソ
以下略



9: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/08(土) 23:19:08.54 ID:J+qrADWR0
メイド「あ、でもこの匂いは『外で雨に打たれていたのをお嬢様に拾われて先ほど部屋でキッチンペーパーを使って水気を拭き取られていたコロッケ』のような……」

執事「完全にバレました。……ミッション失敗」

千鶴「うちのメイドが優秀すぎて怖いですわ」
以下略



10: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/08(土) 23:21:34.24 ID:J+qrADWR0
チンッ

千鶴「ど、どうかしら?」

メイド「は、はい。コロッケとして程よい熱さになったと思います。それでそのコロッケ、もしかして飼うおつもりですか?」
以下略



11: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/08(土) 23:25:10.81 ID:J+qrADWR0
執事「いつも一緒に行動して」


執事「お嬢様。今日もお稽古頑張ってください。……応援してるぞ」

以下略



12: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/08(土) 23:28:55.05 ID:J+qrADWR0
執事「甲斐甲斐しく面倒を見たり」


メイド「あ、あのコロちゃんをブラッシングしてもいいですか……?」

以下略



13: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/08(土) 23:37:15.74 ID:J+qrADWR0
執事「穏やかな日々を過ごしながら」


千鶴「残念ながらコロちゃんとベッドは別ですわね」

以下略



14: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/08(土) 23:38:25.46 ID:J+qrADWR0
執事「新しい家族の来訪をお嬢様は心から喜びました」


千鶴「うーん、どちらがいいかしら」

以下略



15:名無しNIPPER[sage]
2017/04/08(土) 23:39:17.07 ID:bPepwggZO
(コロッケってなんだっけ…?)


16: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/08(土) 23:40:36.37 ID:J+qrADWR0
母「はいほー!姫の登場なのです!」

メイド「奥様、本日もお勤めお疲れ様でした。お休みなさい」

母「少し待つのです」
以下略



17: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/08(土) 23:41:43.13 ID:J+qrADWR0
母「さて、娘が捨てられてた子を拾ってきたみたいですけれど、まさか雑種を拾ってきたりなんてしてないのです?それはセレブとしてあるまじき行為なのです」

メイド「ざ、雑種ではないと思います。匂いからして、たぶん牛100%かと……」

母「ほ?牛なのです?てっきりワンちゃんかネコちゃんを拾ってきたのだと思っていたのですけど。う、牛を拾ってきたのです?」
以下略



18: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/08(土) 23:43:17.21 ID:J+qrADWR0
メイド「あ、あの、非はコロッケを飼うお嬢様を止めることなく一緒に面倒を見ている私たち使用人にあります。どうかお嬢様へのお叱りは……」

母「あなたたちも面倒を見ているのですか?その……コロッケの」

メイド「は、はい。あ、あの、写真をご覧になりますか?昨日撮ったものですけれど、お嬢様が選んだリボンで可愛らしく着飾っていて……」
以下略



19: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/08(土) 23:45:16.53 ID:J+qrADWR0
執事「幸いなことに奥様はコロちゃんについて、その日以降まったく話題に出すことはありませんでした」

執事「お嬢様は奥様がすでに知っていることに気付かないまま、コロちゃんと暖かい日常を過ごしました」

執事「しかしコロちゃんとの時間は長くは続きませんでした」
以下略



20: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/08(土) 23:47:59.22 ID:J+qrADWR0
千鶴「そんなっ!?昨日まではあんなに元気でしたのに!」

執事「もともとコロちゃんは捨てられて風雨に晒されていました。だいぶ弱っていたのでしょう。……残念ながら」

千鶴「……」
以下略



21: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/08(土) 23:51:13.19 ID:J+qrADWR0
千鶴「そういうわけですからコロちゃん。今日は連れていくことができませんわ。……今までありがとう」

執事「……」

母「連れていってあげるのです」
以下略



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