過去ログ - 橘ありす「その扉の向こう側へと」
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18: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/04/09(日) 15:56:42.22 ID:L8J356lk0
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「……すちゃーん。ありすちゃーん。ぼーっとしてるけど、大丈夫?出番近いよー?」
「おぉっと、橘氏が緊張でバタンキューだっ。救急車、救急車〜!」
「倒れてませんし緊張もしてません!……いえ、緊張はちょっとしてますけど、大丈夫です」
「ん、そうー?……うん、顔色もいいから平気かー。でもぼーっとはしてたよね。どしたん?」
「えっ?え……と、少し、昔のことを思い出していたんです」
「なるほど、橘昔話!むかーしむかし、あるところに……」
「小さな女の子と、そのプロデューサーが暮らしていました。でも、それは別のお話なのでまた今度で」
「あら、楽しそうじゃない三人とも。盛り上がってるところ悪いけど、ありすはスタンバイよろしくね」
「おぉー、奏ちゃんおつデリカー。歓声、聞こえてきてたよー?」
「んー、おつデリカおつデリカー。それじゃありすちゃん、いってらー」
「はい。それじゃあみなさん、いってきます!」
曲の始まりに歓声が響き、そして静まる。
照明は控えめで、スポットライトが私だけを照らす。
広がる視界は、一面青のサイリウム。
ゆるやかに揺れるそれは、さざ波のようで。
衣装のすそを軽く握って、私が発する最初の音といっしょにそっと離した。
――おとなになる、ということに。私は強い憧れを抱いている。
少しだけ前に進んだけれど、結局どうすれば大人になれるのかはわかっていない。
だけど、その扉をひとつ開いた先には。
たくさんの仲間と、まだまだ広がる大海原が待っていました。
おしまい
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