過去ログ - 佐久間まゆ「たった一つの光、願い込めて」
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10:名無しNIPPER
2017/04/09(日) 16:21:16.97 ID:ltgFqpYMo
「俺は昔から自然が好きだったから、良くこの山に来てたんだ。親に怒られた時、テストで悪い点を取った時、先生に怒られた時、嫌なことがあった日はいつも此処にいたっけなぁ」

 しみじみと、プロデューサーさんは言葉を紡ぐ。

 いつの間にかアスファルトの舗装はなくなり、柔らかな芝生が足を包み込んでいた。

「あの展望台、あの場所から周囲を眺めては一人で泣いたり笑ったりしてたんだ。さあ、手を取って。暗いから足を踏み外すといけない」
  
 そうしてプロデューサーさんは、私に手を差し伸べる。

 どうしてこの人は、私の思いに気づいてくれないのだろう。

 私は嫌われたいのに。それなのに、彼は私の心に近づいてくる。

 でも私は魔法をかけられたようにその手を取ってしまった。

 プロデューサーさんは慣れたように展望台へ一歩を踏み出し、私は恐る恐る、彼の足跡をなぞるように一歩を踏み出す。

 どうやら、ペンキがはがれた展望台でも、二人分の体重を十分に支えきれるようだ。

 軋むことはなく、展望台の足場は私たちを支え続ける。



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