過去ログ - 佐久間まゆ「たった一つの光、願い込めて」
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13:名無しNIPPER
2017/04/09(日) 16:26:31.79 ID:ltgFqpYMo
「俺は、まゆの前にも数人アイドルをプロデュースしてきてる。だから、アイドルが考えてることくらいはわかるつもりだった」

 独り言のような調子で、プロデューサーさんは呟く。

「最初に担当したアイドルは、凛だった。彼女はじゃじゃ馬だったが、今思えばあいつの考えてることはわかりやすかったな。俺が思うアイドル像に、一番近い奴だった」

 ふふ、と笑みをこぼし、彼は言った。

「それから、幸子。彼女には本当に手を焼いた。俺はああいうタイプにあったことはなかったから、一体どうやって接してやれば良いのか分からなかった。でも最近はやっと、付き合い方がわかってきた」

 そうして彼は。もう一度私の瞳を見つめた。

 星空のように、吸い込まれてしまいそうな瞳で。

「でもな、まゆ。お前はそれ以上に分からないんだ。お前は俺に良くコミュニケーションしてくれるが、どこか遠慮してるようにも見える。お前はどうしたいのか、さっぱりわからないんだ。プロデューサー失格かもしれないが、お前が俺に嫌われようとしているような、そんな感じがするんだ」

 思わず私は息をのむ。

 完璧に演じたはずなのに、彼には見透かされていた。

 彼が新米のプロデューサーなら、私が彼の初めてのアイドルなら、こうはならなかったのかも知れない。

「教えてくれ、まゆ。お前は一体、何を考えているんだ?」

 プロデューサーは申し訳なさそうに、そう呟く。

 その言葉に、私は毛布を目深にかぶって、言葉を考えることしかできなかった。



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