過去ログ - 佐久間まゆ「たった一つの光、願い込めて」
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8:名無しNIPPER
2017/04/09(日) 16:18:21.64 ID:ltgFqpYMo
 古びた街灯の根元に車が止まる。

「よっし、着いたぞ、まゆ」

 プロデューサーさんは楽しそうに言う。

 プロデューサーさんが下りてから少し遅れて私も車から降りる。

 そんなに高い山ではないはずだが、やはりこの季節の夜は冷える。

 あらかじめプロデューサーさんが積んでくれた毛布を後部座席から引っ張り出して、それを両手で抱えて私はプロデューサーさんの隣に立った。

 舗装されている駐車場のいたるところから背の高い草が生えてアスファルトは隆起し、その草にうずもれるように、放置された車が駐車場に二台だけ存在している。

 長い間この場所が行政から忘れ去られているような、そんな雰囲気を抱いた。

「何もない場所だからここが良かったんだ。ほら、毛布をかぶって。冷えないように」

 プロデューサーさんだって寒いだろうに、彼は私に半ば無理やり毛布をかぶせる。
 
 なすすべもなく、私はすっぽりと毛布をかぶった。



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