139: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/05/21(日) 04:03:41.54 ID:izm4J/Xr0
それは静かな戦場だったといっていい。兵士達は恐怖するまもなく斬り伏せられていく。闇にまぎれて動く放浪者は、もはやそれが意思を持って彼らに襲い掛かっているかのようだ。
彼は間違いなく人間だが、彼がここまで培ってきた人知を超えた体験、そして得た武装はオーバーテクノロジーと形容できる。その2つを生かすことのできる彼自身の高いポテンシャルも相まって、それこそ人間離れしている。
しかし、それは表面上のことに過ぎない。彼という存在を形成するものということでは、切り離せはしないが、器の部分ではない。彼を支える器の部分は、どんな局面でもあきらめることはない、揺らがない信念。
それはまるで進み続ける古い蒸気機関車のようだ。己の信念で出来たレールの上、達するべき目的地へ向け、表面には見えない熱い意思を元で作られたその強力な推進力をもって、障害を破壊しながら進む。その後ろには、どうしようもなかった多数の犠牲が転がりながらも、ただ前へと。
今、彼の手で作り出した夥しい死の光景も、その犠牲の1つに過ぎない。だからこそ放浪者は、虚しさを覚えていた。その上で、彼は前に進むしかない。同盟を組む者達を救うため、羽ばたく翼を撃ち落すためにだ。
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