156: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/05/23(火) 02:07:00.09 ID:ay0DpeFQ0
「全部隊! 出入り口を塞げ! 絶対に侵入させるな!」
だが、指揮官の男もこれまでに修羅場を潜り抜けてきた人間であることに変わりはない。絶望に蓋をし、この戦いに生き延びる渇望を糧に、部下に指示を飛ばす。不意を突かれ、対空砲を潰された事実は変わらない。だが、それでも変わらないのは相手がこの中に侵入してこれないという現実だ。
対空砲が潰されたところで、実際のところ痛手ではない。手数を稼げる機銃が潰される前にサンシャインを超能力者にぶつけ、細切れにしてやればいい。それが終われば、今襲撃をかけている人間の始末をつける。そう、フロントガラスの前にい――。
強化を施し、そこいらの銃弾では傷もつかないそのガラスが、1本の太い杭で穴があけられて、指揮官の男の右腰の上側を貫き、壁に張り付いた。そして、先ほどやった手段と同じだろう。その穴の中に手榴弾を放り込む。あっという間の状況に誰も反応できず、爆発とともに運転席も内部からダメージを与えられた。
その間姿を消してきた放浪者(にんげん)は、ボロボロになったフロントガラスを蹴破り内部に侵入してくる。中にいた者達は、うめき声を上げることしかできない状況だった。
「な…、ぜ」
指揮官の男は、今の状況の疑問が勝っていた。死ぬのは覚悟できてなかったが、こうなれば諦めの境地だというのもあるのだろう。
「…工具はどんな硬いものでも加工できる。それだけだ」
放浪者(にんげん)が腕を振るうと、指揮官の男は数秒後に意識が途絶えた。
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