178: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/05/27(土) 04:50:26.99 ID:sY7bYUWb0
開けられた扉がノックされる、そこにいたのは香坂の姿。神妙な面持ちで、放浪者と話がしたいとのことだった。話をしなければいけないことは大体終わり、DJフレンドも全体への周知の為、放送室を後にする。
扉は閉められ、二人きりになる。だからと言って恐縮する様子もなく、彼女の眼には強い光が宿っている。
「単刀直入に聞きます。貴方は本当に、ただの生存者なのでしょうか?」
少し食傷気味になる程度に、聞きなれた言葉だった。それだけに、そうだとしか答えようがない。
「ただの人間がこんなことができるとは思えません」
香坂の胸中にあるのは、畏怖。あの惨状は、彼女の眼にも焼き付いていた。だから恐れている、ここまで一緒にやってきた2人の仲間、それが何かのきっかけで同じ目に遭う事を。
放浪者はしばらく黙した。有効な言葉が浮かばないというのもあるが、ここまで来た自分の軌跡を思い出していたからだ。相棒、山中と会うまでは一介の生存者でしかなかったのは事実。しっかりとした休みはあまり取れず、武器もわずかにしかなかった頃、ゾンビ、そして兵士といった人間相手にここまで大立ち回りをすることは、想像もしていなかった。
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