202: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/06/01(木) 18:57:33.36 ID:scZNBf0M0
「獣は飛び込んだ!」
井門は無線越しにそう叫んだ。アクスマンは咄嗟のことで反応できなかったが、意味は理解した。分かれて行動していたはずの男の仲間達が、自分達を包囲している。
「なぁ、アクスマンよ」
自分のことに気づいていた男は、こちらを睨みつけ、真剣な表情で言った。
「これが、人間が得意な戦術ってやつだ。卑怯なんて言うなよ?」
銃弾が飛んでくる。寸でかわしたが、また部下が何人か失われた。この壁も、いくつもの視界が急速に消えていくことを思えば、長い時間は持たない。そして、今は逃げ場のない包囲を自ら味わっていた。
自分が消える。考えたこともなかったことに、アクスマンは言いようのない感覚を覚えた。それがなんであるかは理解することはない。しかし、その感覚に押されたように、アクスマンは井門に飛びかかった。消えるのであれば、敵を一人でも始末する。無意識の覚悟を決めたからだ。
「なめんな!」
不意を突かれなければ、兵として、そして惨劇下の修羅場を潜り抜けた強者の一人。それが井門だ。見え見えの攻撃を流し、ウェーブナイフで首を一突き。
「じゃあな」
素早く引き抜いて、今度は頭部に刺しこまれる。程なくして、アクスマンはその意識を永遠に失った。
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