35: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/04/18(火) 05:47:15.36 ID:OsdxzJWM0
「それで、聞きたいことは何かな?」
「ミーシャって人が言ってた、空を飛ぶ人は、どこで見たかは知らない? きっとフェアリーのことなんだよ」
その名前には聞き覚えがあった。というよりも、それは拠点にいるその超能力者(ひと)で間違いないだろう。状況から推察するに、どう考えてもエコーと名乗る目の前の存在も、そうと思われる力でフレンドに接触してきたのだから。
「そうじゃないかなってのは知っている。でも、教える前にこちらにもいろいろあってね。まず、聞いてどうしたいんだい?」
「僕が、あいつらに捕まったせいで、皆を困らせちゃったんだ。謝らないと、いけないんだ」
贖罪の顔、誰もかれもこの世界を生きる者はこの顔を持っている。
フレンドは、信用していいと思えた。PCPに関連する超能力者は、何らかの精神的あるいは肉体的なトラブルを抱えていると聞いている。状況からして、エコーは性別を誤認している可能性があった。後天的に、性同一性障害にさせられるなど、その苦しさを知っているフレンドからすれば、同情せざるを得なかった。
「…そうか。知っているまでは言えるよ。でも、それを答えていいかまでは、まだ判断がつかない」
「どうして? 教えてくれないの?」
「そうじゃないよ。簡単に言うと、許可がいるんだ。君は、WWPに追われている身だよね? ある勢力もWWPとは敵対している。そしてその場所に聞いた子はいる。だけど、その場所を伝えた後、君が捕まってしまえばそこがバレてしまう恐れがある。だから、その場所に許可をもらわないといけないんだ」
わかってくれるかな、と穏やかに言うフレンドに対して、エコーは頷いた。
「DJフレンド。貴方の言葉(おと)に嘘はなかった。信じるよ、後はその勢力が良いって言ってくれれば、教えてくれるんだよね?」
「そうだね…。でも、音で嘘を言ってないのかわかるのかい?」
音は僕そのものだからと、エコーは答えた。
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