377: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/08/19(土) 03:26:50.23 ID:cilu0gxg0
今となっては門日が治療室の主となっていた。ここへ来る前の放浪期間、そして身を置いていた他勢力のように、この場所が常に負傷者で利用されると思っていた彼女にとって、在庫管理と警備の任務だけで済む日々は、穏やかなものではあった。
探索組、回収組が優秀なのは今更語るまでもない。だが、そんなメンバーがここに運び込まれる――であろう――日が迫っている。その思いから、ここの処治療室の管理に力が入ってしまっているのが、ここのところだった。
ノックの後、扉が開く。入ってきたのは喜読だった。聞いても具合が悪い訳ではないようで、診察用に置いてある椅子に彼女は腰掛け、門日と対面する形になる。
「どうしたのかな」
「今回のパラノイアとの戦い、門日様はどのようにお考えでございますか?」
「…それは、難しいことを聞くね」
危険にわざわざぶつかる必要はない。それが門日の本音だ。拠点のある位置と、大型駅エリアのある位置はかなり離れている。下手に刺激するぐらいなら、そのままにした方が結果的に安全なのではないか。そう思わないでもないのだ。
しかし、現実にパラノイアは地下を使って拠点へゾンビを差し向けた経緯、これまでの小競り合いを考えれば、それはもはや願い事と言うしかない。
「そうだね、やっぱり難しいよ。どうなるかが想像つかなくてね」
それが答えだ。
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