438: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/09/21(木) 02:15:36.12 ID:VrJYlPj+0
ハンターは薄暗い闇の中にいた。奇妙なほどゾンビがいない状況でバリケード内を歩き、招かれるように訪れたのは地下道だった。大型駅に直通する大きなそこの左右に、店舗などが見受けられる。
ここだなと直感したハンターは、愛用のチェーンソーを起動させる。ガソリンの匂いが、ちょっとした閉鎖空間に紛れ、動作音がこだまする。そして用意しておいた懐中電灯を、床に置き、非常灯で淡く見える通路へ向けて点灯させた。
その向こうにいたのは、ゴーレムゾンビで出来た壁と、そこから飛び出してきたクローゾンビの2体だ。奇声をあげながら走り、爪が同時に迫るのをそのデルフィアで防ぐ。力比べは流石に分が良いとはいえず、爪を掴んで1体を引き倒した。
愉しい。ハンターはそれで身体が満たされていることを感じ取っていた。今日この時まで、大暴れすることができなかったことを思えば、それは十分な対価なのかもしれない。
そして何より、今視界に捉えている範囲にただのゾンビは1体もいない。変異体のみで構成された、絶望的な光景が映っている。
更に爪を振りかざしてきたクローゾンビの顔面に、チェーンソーを突き立てる。粘着質が混ざった悲鳴の後、顔が半分に割れて倒れる。
「全部、狩り獲りがいがありそうだなぁ。おい?」
加速する狂気を象徴するように、赤く染まるチェーンソーはエンジン音を轟かせ、刃は回転した。
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