過去ログ - これから日記を書く 七冊目
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454:ブレイクタイムでもなく本編に関わりは多分ないと思う幕間  ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/10/08(日) 03:20:51.54 ID:FZeroFR+0
『オリジン』

死人が歩き回る世界、そして私がいる世界。はたして、どちらが地獄か考えてみた。死を恐れる場所がない、それだけ聞けば天国だと、外の人は思うのかもしれない。でもここは、砂上の楼閣。捕らわれている私は外へ出る術はない。私は静かに長い時間をかけて死に絶えるしかない。

今日も窓の外を見る。強化ガラスで作られた景色は、以前と変わり映えはしない。あるのは、自然の光景。そこへ行きたくても、忌々しい透明な境目は破壊することはできない。指先で、つま先でその冷たい境界を触れる。

ここに来たのはいつのことかも覚えていない。そもそも、今私を捕らえている人間達が誰かさえもわからない。ただ私はずっとここにいる。

最近では私の力に関する分析もされなくなった。唯一の出入り口が開かなくなって、久しい。それはつまりこの場所も、安全ではなくなったということかもしれない。けれど、出られないということは、入っても来られないということでもある。死人のことを考えれば、その方がいいのかもしれない。

外に出たいという願いはかなわず、正気を失おうにも力によってそれもできない。長い、長い生は、どこに終着しようとしているのか。

窓の外にある木の葉に、手のひらを向ける。しばらくすると、そこだけ枯れ、風によって散っていく。

「少しだけもらうのじゃ」

ゆっくりと、部屋の中にあるベッドに向かう。その隣の化粧棚の上には、小さな鏡があり、変わらない顔が映し出されていた。見慣れたそれが今日はいつも以上に嫌になり、静かに伏せてから、ベッドへ横になる。

この場所だけ、全てから隔離され、そして時が止まっている。それが動き出すことを望みながら、ゆっくりと目を閉じた。


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