63: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/04/25(火) 00:17:17.43 ID:GpWFD7CH0
放浪者は闇に紛れていた。彼の視界には、WWPの兵士が動いているのを捉えているが、兵士達は放浪者を視界に捉えてはいない。普段の彼なら、目の前にいる8人程度の兵士を、理解できる間もなく屠れる確信はあった。しかし、彼としてはわずかな危険性だとしても、それを冒す価値は今のところない。
重要なのは情報提供者と名乗る、DJフレンドに敵対している勢力。エコーの音響探査によって潜伏しているであろうと言われた場所へ急ぐ。
工場地帯は、その立地や建築物の関係で潜みやすいところが大半だ。集団とはいえ、少数の人間を探すには骨が折れるだろう。それに、まだWWPの目的ははっきりとしていないが、それを理由にここへ訪れているであろうWWPとって、情報提供者を探すのは二の次だろう。精々、探索の障害として認識され、目撃したら容赦なく撃ち殺す、その程度の腹積もり。基本的な部分について、放浪者はそう読んでいる。
ただ、気になる点がない訳ではない。情報提供者は、明らかにWWPが敵と認識して攻撃と思われる発言があったのはミーナ達から聞いている。小競り合いのようなその時の戦いも、元々は情報提供者が仕掛けたのかもしれない。そうなってくると、事情は変わってくる。情報提供者がDJフレンドについて、気に食わないのが解消できなかったとしても、同じ敵と認める相手なら一時協力は見込みやすい。
バレットパレードに与えられた時間は短い。可能な限りの状況をシミュレートしながら放浪者は目的の建物に、音も存在もなく侵入した。
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