過去ログ - ヴィーネ「愛妻家の朝食」
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63: ◆n0ZM40SC3M[sage saga]
2017/04/10(月) 16:35:20.88 ID:LzjXz4kL0



それからとりとめもない話を少しして、続きはまた今度ということになった。

私はその後立ち寄ったスーパーで、つい癖で食材を買いすぎてしまい、

来なくてもいいと言われていたが結局、ガヴのアパートに来た。

少し遅くなってしまったが、彼女はまだ家に帰っていなかった。

時間が経ってもいいようにと、今夜はカレーにする。

私のお母さんは、私が怒られた時には決まってカレーを作ってくれた。

隠し味にすりおろしたリンゴを使ったそのカレーは、一口目には不思議な安心感があって、

でも後味は少しばかり刺激的で、罪と、赦しの味がした。

食事を作る側になって考える。

あれはお母さんにとっても大事な儀式のようなものだったのではないか。

親の心子知らずとはよくいったもので、相手の立場に立つというのは、そもそも不可能だ。

だって、私は私であり、誰かではないのだから。

まあ、だからこそ終わりのない想像をしてしまうのだけれど……。

カレーが焦げ付かないように、ゆっくりとかきまぜる。

野菜に味がしみ込むように、私のため息もルウに溶け込んでいくような気がした。





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