4:名無しNIPPER[saga]
2017/04/13(木) 23:19:25.71 ID:PxCHan+00
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空に手を伸ばし、まだ見ぬ輝きへと思い馳せ、どれくらいの時間が流れたのだろうか。
一秒か一分か、はたまた一時間であったのか。
そんな私の姿を眺めていたのであろう、スーツの男に声をかけられた。
「君は?」
質問の意図がまるで分からない。
このような手合いは、そそくさとその場を立ち去り無視するのが賢い選択だろう。
それは、理解している。
けれど、口をついて出たのは「……高峯のあ」という、簡素な自己紹介であった。
それを聞いた男は、にっと笑って懐から名刺を取り出し、懇切丁寧に差し出した。
ああ、撮影の関係者か。
ならば、先ほどの質問は私の所属を聞いてのものだろう。
そう思って、私も名刺を同じように差し出した。
「……なるほど。でも、あそこに君みたいな役者さん、いたかなぁ」
男は私の名刺を見て頷いたかと思えば、首を傾げ始める。
しかし、この男の疑問も尤もだ。
「……私は、無名だから」
自分で言っていて虫唾が走ったが、事実である以上は仕方がない。
男は軽く「へぇ」と、少し何か考えるふりをして、続いてこう言った。
「アイドル、やってみる気はない?」
斯くして、奇跡は起こった。
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