24: ◆mqlRkew9nI/5[saga]
2017/04/14(金) 22:11:36.70 ID:gbQcrLF00
―――あたしは、その少女に近づいて声をかけた。
奈緒「なあ、ちょっといいか?」
加蓮「ナンパなら、どっかいってよ。そーゆーの、興味ないから」
奈緒「ちげーよっ! スマホ見てないでこっち見ろ! あたし、女だろ⁉ ナンパなんかするか!」
加蓮「……ん、それもそっか。なら、どちら様?」
奈緒「あたしは神谷奈緒って言うんだけど……あんたをアイドルにスカウトしたいんだ」
加蓮「……スカウト? なにそれ、なんの冗談?」
奈緒「いや確かにうさんくさいかもだけど、マジな話だ。これがプロデューサーの名刺」
加蓮「プロデューサー……?」
奈緒「本人はあれだ。あそこの―――」
P『あ、時限イベ始まってる』
奈緒「なんでスマホゲーやってんだ!」
加蓮「あれがプロデューサー……?」
奈緒「い、一応プロデューサーなんだ。で、あたしはあいつのプロデュースするアイドル」
加蓮「アンタがアイドル? 全然テレビとかで見たことないけど」
奈緒「そりゃそうだ。あたし、先週アイドルになったばっかりだから」
加蓮「……へー、そーなんだ。じゃ、そういうことで」
奈緒「流れるようにこの場から離れようとしないで⁉ 嘘っぽいけどホントなんだって!」
加蓮「……ま、その必死さに免じて信じてあげてもいいけど。でもなんでアイドルのアンタがスカウトしてるの? そういうのってプロデューサーの仕事じゃない?」
奈緒「確かにそうなんだけど……あいつはスカウトの才能がゴミクズなんだ」
P『おい、聞こえてるぞ! 誰がゴミクズだ!』
奈緒「お前はそのまま黙々とスマホゲーやってろ!……で、仕方ないからあたしが代わりにスカウトすることになったんだよ」
加蓮「なるほどね。……でも、なんでアタシなわけ?」
奈緒「なんていうかこう、ビビっときたからかな。なんか、うちの事務所の他のアイドルと似たようなもん感じたんだ」
加蓮「何それ。でも……アタシがアイドルに? ふぅん……アタシがアイドルねー。昔、病院のテレビでよく見てたなー、アイドル番組。ふふっ」
奈緒(病院……?)
加蓮「あ……ごめん。やっぱいいや。名刺、返すよ。アイドルなんて……そんな夢みたいなこと、叶うわけないから。声かけてくれたのは嬉しいんだけどさ、アタシには無理だから」
奈緒「無理って……なんか病気とかなのか?」
加蓮「ううん、今は違うけど……だってアタシ、いろいろ最低最悪でさ……。今はもう、なんか人生諦めムード入ってるんだよね。だから、バイバイ。悪いけど他探して」
奈緒「あ、ちょっと!……行っちゃったし。何かあるのかな、あいつ……」
P「―――やっぱり失敗したか。どうだ、スカウトって難しいだろ?」
奈緒「スマホゲーしてたやつが偉そうに言うな!」
503Res/574.93 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。