33: ◆mqlRkew9nI/5[saga]
2017/04/14(金) 22:17:08.81 ID:gbQcrLF00
―――公園
あたしと加蓮は、公園のベンチで小休止していた。
奈緒「あー、歌った歌った」
加蓮「結局、一日中アンタと一緒って……」
加蓮は小さくため息をついた。
加蓮「あのさ……」
奈緒「ん?」
加蓮「どうしてアタシのこと引っ張りまわすわけ?」
奈緒「どうしてって……一緒に遊びたかったからだけど」
加蓮「だから、なんでそんな風に思うのかって訊いてるの。アンタとは友達でもなんでもないでしょ」
奈緒「え……」
加蓮「あ、いや、うん、もう友達かも。だからそんな悲しそうな目で見るのやめて」
奈緒「べ、別にそんな目では見てないけど、あたしはもう加蓮のこと友達だと思ってるからな」
加蓮「あっそ……じゃあ訊き方変える。なんで今日、アタシにまた話しかけたの? あの時点では、友達でもなんでもないでしょ?」
奈緒「それは……ちょっと、加蓮のことが気になって」
加蓮「え、アンタそういう趣味……やっぱり昨日のはナンパ……⁉」
奈緒「そういう気になるじゃねーよ!」
加蓮「じゃあ、何が気になったわけ?」
奈緒「昨日、なんか言ってただろ? 最低最悪だの、人生諦めムードだの」
加蓮「ああ、そういえばそんなこと言ったっけ……」
奈緒「それに加蓮の目。つまんなそうっていうか、寂しそうっていうか……そんな感じの目だったからさ」
加蓮「……ふぅん。やっぱり、そういうことか」
奈緒「? なんだよ、やっぱりって」
加蓮「つまり、そんな可哀想に見えたアタシを哀れんだってことでしょ? ホント……そういうの、もういい加減にしてほしいんだけど」
奈緒「な、なに急に不機嫌になってんだ、加蓮」
加蓮「アタシ、もう行くから」
奈緒「は?」
加蓮「もうアンタに付き合う気はないって言ってんの。じゃ、ばいばい」
そう言うと、加蓮はベンチから立ち上がった。
奈緒「いやいやいや! 『じゃ』じゃないだろ! 待てよ、加蓮!」
加蓮を行かせまいと、あたしはその手首を掴む。
加蓮「手、離して。もうアンタの顔見るだけでイライラするから」
奈緒「なんだそれ! あたし、何か怒らせるようなこと言ったか⁉」
加蓮「いいから離せって言ってんでしょ!」
奈緒「そんなこと言われて離すわけないだろ! 今手を離したら、あたし、加蓮と喧嘩したまま別れることになるじゃんか!」
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